ここ数年、議論が収まっていないのが「ディスクブレーキはプロロードレースで使われるべきか否か」問題。
「むき出しのローター=鋭利な回転ナイフだろ、危なすぎる」と主張する反対派と、「必ずしもローターが原因じゃない。それを言ったらスポークだって同様に危険だ」という擁護派がそれぞれ一定数いるような気がする。

メディアやファンはあーだこーだと騒がしいが、肝心の選手たちはどう考えているのだろう?
ということで、GCNの「Should Disc Brakes Be Allowed?(ディスクブレーキはプロレースで使われるべきかどうか?)」という動画を視聴した。スポンサーや所属チームの事情もあるだろうから、選手らがどこまで本音を語ってくれたかは疑問だが、興味深い内容だったので翻訳してご紹介する。
案の定、各種メーカー、サプライヤーから機材供給を受けている立場の選手が、パブリックに意見を表明するのはなかなか難しいようで、マイクを向けられた選手らは、ちょっと言葉を濁してはいる。
具体的な解答は以下の通り。

※歯切れが悪い

※ものすごくやる気なさそうな受け答え

※比較的ハキハキと答えている
ディスクローターによる(と思われる)裂傷事故は過去にも起きていて、それに似た事故がアブダビツアーで起きた。
アブダビツアーの第1ステージでOwain Doull選手がマルセルキッテル選手のクラッシュに巻き込まれた。
レースに復帰する時、シューズが切れているのを発見。チームカーに戻ると、今度は出血していたことがわかる。
ステージ終了後、Doull選手はジャーナリストに対して、「シューズの裂傷はマルセル・キッテルのディスクブレーキのせいで間違いない」と話した。
で、彼がツイッターに投稿した写真がこちら。
他の選手らやファンも、それに対して次々に反応を起こした。
これでまた、ディスクブレーキの本格的な導入が遅れるかもしれない。反対派からすれば、「それみたことか!」って都合の良い材料になるだろうから。
選手へのインタビューは続く。

クイック・ステップ・フロアーズの選手だけ、2017年のジロ・デ・イタリアではディスクブレーキ仕様のロードバイクに乗っている。その二人の声がこちら。

※ディスク使いますけど何か?な表情の二人
Bob Jungels
「フレームの硬さ(stiffness)とブレーキの効きが良いのがディスクロードを使う理由だ。様々な事故の原因がディスクブレーキのせいだと指摘されているけど、証明はされていないしね。まあ、将来的には導入が進むだろう。興味深いテクノロジーであるのは間違いない。新しいテクノロジーを導入するとき、常に混乱や議論はつきものだ。別にどうってことはないよ。」
Iljo Keisse
「雨天コンディションでのブレーキングパワーがとにかく良いんだ。それが使っている理由だね。過去数年のジロ・デ・イタリアでは雨れのレースに見舞われたしね。ウェットなステージではパフォーマンスにも影響すると思う」

※後ろを振り返ったり、誰に見られているのか気にしているナーバスな様子がうかがえる

多少、意見は分かれているが、ディスクブレーキに対する選手等の声を総合すると。。。
の三点だろうか。
動画のホスト(インタビュアー)、トムさんが驚いていたのが、「誰もホイール交換に時間がかかりすぎる点について触れなかった」こと。ディスクホイールは脱着がやや面倒で、どーしても時間がかかる。ほんの数秒の差で勝敗が決するロードレースにおいて、これは完全なデメリット。
選手らはこの点はさほど心配していないか、「それより大事なことがある」と考えているのかもしれない。
以上、GCNの「Should Disc Brakes Be Allowed?(ディスクブレーキはプロレースで使われるべきかどうか?)」という動画の翻訳紹介でした。

関連記事もどうぞ…(^^)
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>> カデル・エヴァンスのディスクブレーキに対するスタンスが意外に寛容で驚いた
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「むき出しのローター=鋭利な回転ナイフだろ、危なすぎる」と主張する反対派と、「必ずしもローターが原因じゃない。それを言ったらスポークだって同様に危険だ」という擁護派がそれぞれ一定数いるような気がする。

メディアやファンはあーだこーだと騒がしいが、肝心の選手たちはどう考えているのだろう?
ということで、GCNの「Should Disc Brakes Be Allowed?(ディスクブレーキはプロレースで使われるべきかどうか?)」という動画を視聴した。スポンサーや所属チームの事情もあるだろうから、選手らがどこまで本音を語ってくれたかは疑問だが、興味深い内容だったので翻訳してご紹介する。
案の定、各種メーカー、サプライヤーから機材供給を受けている立場の選手が、パブリックに意見を表明するのはなかなか難しいようで、マイクを向けられた選手らは、ちょっと言葉を濁してはいる。
具体的な解答は以下の通り。
Jasper Stuyven (ジャスパー・スティユベン)
所属:トレック・セガフレード将来的にはまあアリだとは思うんだけど、、、性能面では問題ないし。キャリパーブレーキよりはいいのは間違いないから。ルールがクリアーになって、全部のチームがそっちの方向に向いているのが条件かな。
UCIがルールをまた元に戻すかもしれないし、そういう意味でもきっちり決まってくれればいい。あとは、安全性が確保されていることも条件になるだろうね。

※歯切れが悪い
Steven Kruijswijk
所属:Lotto NL - Jumbo僕はとくに意見はなくって…まあそのようにルール化されたら従うだけだし、選手である僕の考えはあまり重要ではなないっていうか。ディスクブレーキのロードには乗ったことはないし、乗るつもりもいまのところないよ。

※ものすごくやる気なさそうな受け答え
Laurens Ten Dam
所属: Team Sunweb僕はディスクブレーキはいいと思うね。ストッピングパワーはいいし、これから普及していくと思う。グラベルのレースではディスクブレーキを使っていたしね。
ただ、安全面には配慮してほしいのと、6.8キロのディスクロードを作ってくれたら嬉しいね。僕は体重が重めだからさ。まあ、それはフレームメーカーの努力にかかっているんだけど。

※比較的ハキハキと答えている
Although fortunately for me the disk brake went through my shoe and not my leg. Disk cut straight through my shoe into my foot pic.twitter.com/b6HMe7hRMb
— Owain Doull (@owaindoull) 2017年2月23日
ディスクローターによる(と思われる)裂傷事故は過去にも起きていて、それに似た事故がアブダビツアーで起きた。
アブダビツアーの第1ステージでOwain Doull選手がマルセルキッテル選手のクラッシュに巻き込まれた。
レースに復帰する時、シューズが切れているのを発見。チームカーに戻ると、今度は出血していたことがわかる。
ステージ終了後、Doull選手はジャーナリストに対して、「シューズの裂傷はマルセル・キッテルのディスクブレーキのせいで間違いない」と話した。
で、彼がツイッターに投稿した写真がこちら。
他の選手らやファンも、それに対して次々に反応を起こした。
Thats terrible @SophieSmith86. Through a few layers of leather. 1 rider with disc today, imagine more had them (¬_¬) pic.twitter.com/XdXSO1E5hI
— Adam Hansen (@HansenAdam) 2017年2月23日
これでまた、ディスクブレーキの本格的な導入が遅れるかもしれない。反対派からすれば、「それみたことか!」って都合の良い材料になるだろうから。
選手へのインタビューは続く。
Manuel Quinziato
所属:BMC レーシング現場はとても混乱している。シューズを切った原因がディスクブレーキなのかどうかも含めてだ。もっと長期間のテストが必要だと思う。もちろん、テスト中はレースでは使えなくなるようにすべきだ。
僕は集団の中にディスクに乗っている選手がいるとナーバスになってしまう。ディスクブレーキがレースに使われるのであれば、もっと安全性が確保&証明されてからにしてほしい。

クイック・ステップ・フロアーズの選手だけ、2017年のジロ・デ・イタリアではディスクブレーキ仕様のロードバイクに乗っている。その二人の声がこちら。

※ディスク使いますけど何か?な表情の二人
Bob Jungels
「フレームの硬さ(stiffness)とブレーキの効きが良いのがディスクロードを使う理由だ。様々な事故の原因がディスクブレーキのせいだと指摘されているけど、証明はされていないしね。まあ、将来的には導入が進むだろう。興味深いテクノロジーであるのは間違いない。新しいテクノロジーを導入するとき、常に混乱や議論はつきものだ。別にどうってことはないよ。」
Iljo Keisse
「雨天コンディションでのブレーキングパワーがとにかく良いんだ。それが使っている理由だね。過去数年のジロ・デ・イタリアでは雨れのレースに見舞われたしね。ウェットなステージではパフォーマンスにも影響すると思う」
Philip Deignan
所属:チーム・スカイ大多数の他の選手と同じ意見で、僕は(ディスクブレーキは)必要なものだとは思わない。今の(キャリパーブレーキ)で充分だと感じている。
それに、ディスクロードのほうが700グラム位重くなってしまう。まあ、産業として進歩していかなくてはいけないし、メーカーはもっとバイクを売りたい事情もあるだろうしね…。

※後ろを振り返ったり、誰に見られているのか気にしているナーバスな様子がうかがえる
Alex Howes
所属:キャノンデール・ドラパックすでにトレーニングでは使っているんだけど、性能がすごいからディスクブレーキを使ってしまうと元に戻れない感じはするかな。まあ、保護ガードを付けてもいいんじゃないかとは思う。下りでの走り方やテクニックは少々変わるけど、俺達はプロだ。プロはすぐに適応できるものなんだよ。

多少、意見は分かれているが、ディスクブレーキに対する選手等の声を総合すると。。。
- 性能は間違いなく良い
- 安全性を確保してほしい
- いずれ普及していくのだろう
の三点だろうか。
動画のホスト(インタビュアー)、トムさんが驚いていたのが、「誰もホイール交換に時間がかかりすぎる点について触れなかった」こと。ディスクホイールは脱着がやや面倒で、どーしても時間がかかる。ほんの数秒の差で勝敗が決するロードレースにおいて、これは完全なデメリット。
選手らはこの点はさほど心配していないか、「それより大事なことがある」と考えているのかもしれない。
以上、GCNの「Should Disc Brakes Be Allowed?(ディスクブレーキはプロレースで使われるべきかどうか?)」という動画の翻訳紹介でした。

関連記事もどうぞ…(^^)
↓
>> カデル・エヴァンスのディスクブレーキに対するスタンスが意外に寛容で驚いた
>> ディスクブレーキは不当な締め出しを食らっているのか?何者かの陰謀なのか?
>> ロードバイクにディスクブレーキは必要か不要か? 海外ユーザーの反応は?
>> ディスクブレーキで大怪我をしたベントソの言葉をまとめた

コメント
コメント一覧 (9)
この手の安全論議が出るたびにいつも「ローターにカバー付けたら良いのに」と思ってるんですが。
重量もそんなにかさむわけでもないし、スリットの開け方を工夫すれば、むき出しよりもむしろ冷却効果は高められるはずなんですけどねぇ。
それが行われないということは、レースの世界では空力とか、重量増とか、交換作業にかかる時間とか、いろいろマイナスが多そうですね。
ただ、個人的には使ってみたいです。メンテナンスが大変そうなので手を出さないでいますが・・・
この時、左右で空力的な違いはハンドリングの違和感に直結するのではないかと思っております。それもあってカバーをつけにくいのではないでしょうか。
少なくともビビりの私のレベルではてんで関係の無い話ですけどね!
ローターが付いている側から考えると、右になるはずなのですが、不思議です。
だって自動二輪、モトGPじゃディスクブレーキを当たり前に採用していてディスクが危険なんて話は一切ないのだから
物理的にキャリパーブレーキよりディスクブレーキのほうが高性能で雨の日の安全を考慮するならディスクの開発&採用でテスト&トライをして進化させていくべきだと思います。
たぶんロードレースだと集団で密集して走るからその中の一部ビビり~君が反対派なのだと思います
そっか、カバーをつければ横風はけっこう受けそうですね。それにしてもダウンヒル100キロってまともな神経では恐怖心に負けますね・・・
う~んさん
折り重なったバイクのせいで向きが変わるとか・・でしょうかね?でも、ふつうに考えるとちょっとレアすぎる気もします
カディエ先生
オートバイではふつうに当たり前に使われているんですね。まあ、この騒ぎもいずれ沈静化し、否が応でもディスクブレーキは浸透するんじゃないかなーとは思いますね。
(・∀・)
それくらいの高速域のことまでは考えてませんでしたσ(^_^;)
おっしゃるとおり時速100キロとかの世界ではどんな影響があるのか… 空力面の解析は風洞実験などで進んでいくのかと思いますが、自社で風洞持ってるとこはほとんど無いはずなので、そうそう気軽に実験できない事情もあるのかもしれません。
恐らくですが、ローターむき出しでもけっこうな乱流抵抗が発生しているような気がしてて、もしそうだとするとカバーリングによる整流効果は期待できそうです。
そのうち、フロントは100mm径くらいのローターを左右に付ける、という試みも出るのではないかと思ってます。
私はディスク最高!派です(笑
turnのverge p10が油圧ディスク標準装備で税別13万?安い!買う!!と衝動買いしたくらいですから(笑
危険性に関してですが、バイクのレース経験者として言えるのは「ディスクよりスプロケットやチェーン、ハンドルにステップの方が危険」です
ハンドルやステップ、自転車の場合はペダルですけど、転倒時に突き刺さるんです
貫通まではいきませんが、肋骨程度なら容易に折りますからね
バイクでもロードレースの世界は結構な接近戦を展開する事もあるんです
接触時に怪我を誘引するのはディスク周りよりも他の箇所ってのが多いですから
また、キャリパーブレーキのデメリットである「リムの消耗」を招かないのも大きなメリットだと考えています
カーボンリムで前後セット20万円!
でもリムは消耗品です!
って貧乏な私には耐えられません(笑
重量面でもキャリパーブレーキ用のリムよりもディスクブレーキ用のリムは軽量化が可能ですし、回転するリムの外周部が軽量化できれば走行性能に大きく貢献できるはずなんです
小難しい話は以上にして、油圧ディスクのメリットは、ワイヤー駆動のキャリパーブレーキより小さな握力で大きな制動力を得やすい事です
軽く握ってよく止まる・・・
楽なんです(笑
長文コメントありがとうございます。
「ディスクよりスプロケットやチェーン、ハンドルにステップの方が危険」…なるほど、そうなんですね。となると、ディスクだけではないのか…。チェーンやスポークも超高速回転してますもんね。
「キャリパーブレーキのデメリットである「リムの消耗」を招かないのも大きなメリット」
↑
私も、それは大きな魅力だと思ってます。とくにカーボンホイールをつかっているとなおさらそれは感じますね。いつかこのホイール、リムがダメになっちゃうのか~~って考えますもん(笑)