昨今のロードバイク事情で言うと、バイクフレームは大きく2種類に分かれる。

1つはトラディショナルな昔からのスタイルで、もうひとつはエアロタイプ。

エアロロードバイクとは、乱暴に言うと「正面からみるとペッタンコな奴」である。フレームを潰すように加工して、空気抵抗を減らしているわけ。その代わり、横から見ると面積が大きいというアンバランスさをあわせ持つ。

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※エアロフレームって、問答無用のカッコよさがあります

自転車における空気抵抗のうち、ざっくり80%は自分自身の肉体が、残りの20%はバイクが生み出す。つまり、痩せて小さくなることが最大のエアロ効果につながるわけだが、それを言うと元も子もないし、面白くないので、20%のほうの検証をしてみたい。

それを実験した、「How much faster is an aero bike?」という海外の動画があったので、翻訳してお届けしよう。



比較したロードバイク

エアロタイプとして、「サーベロのS5」。コンポーネントはデュラエースのDi2で、ホイールはHEDのディープリム。

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※戦闘マシンの趣き


オーソドックスタイプとして、「CanyonのUltimate CF SLX」。コンポーネントはカンパニョーロのスーパーレコードで、ホイールはキシリウム。

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※ナイロ・キンタナが2014年のジロ・デ・イタリアで使ったモノと同じ

どっちもたいがいにすごいハイエンド・ロードバイクだ…。しかもコンポーネントもハンパない。

実験方法

場所はフラットなベロドローム。風はほぼ拭いていないコンディションなので、実験にはもってこい。

比較方法はこうだ。

同一人物が、同じ出力ワットで、それぞれのバイクで10分間走る。それで、2つのフレームでどれくらい走行距離に差が生じるか(あるいは生じないのか)を検証する。

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※フラット基調&コーナーはバンクしている

なお、ワット数は200と300の2回行う。自分はパワーメーターを持っていないので、ワット数を実感として語ることができないんだけど、どうやら200ワットはペース走に近く、300ワットはレースとかタイムトライアルに近い出力…そうだ。

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エアロフレームの効果があるとすれば、スピード域が高く、より空気抵抗がキツくなる300ワットでのほうが、効果は生じやすいはず。

なお、ポジションは両バイクとも同じに合わせてある。片方がエアロなポジションになってしまうと、純粋なバイクの比較ではなくなってしまうから。なるほど、念の入れ方がすごい。

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200ワットでの結果

  • CanyonのUltimate CF SLX
  • 時速30.7km
  • 走行距離:5,150メートル

  • サーベロS5
  • 時速32.2km
  • 走行距離:5,425メートル

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生じた差

>> 時速は1.5kmアップし、走行距離は275メートルアップ


300ワットでの結果

  • CanyonのUltimate CF SLX
  • 時速36.1km
  • 走行距離:6,055メートル

  • サーベロS5
  • 時速38.7km
  • 走行距離:6,490メートル

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生じた差

>>時速は2.6kmアップし、走行距離は435メートルアップ

結論:エアロフレームで巡航スピードはアップする

時速を体力だけで持って1キロアップさせるのって、けっこうキツいじゃないですか。2キロアップさせるなんて、1~2分であればまだしも、ずっと続けるのはすっごく苦しいじゃないですか。

エアロフレームって、そんなに差をもたらしてくれるんですね・・・。正直、この実験結果を見て、「エアロフレームもいいな!」って思ってしまった。

実験した人の感想でも、「エアロフレームは効果があるね。都市伝説とかじゃないよ!」と語っている。

とはいえ、動画内のお二人も認めているが、これはただの1回の実験であり、しかもコンディショナーは無風でフラット。登坂がある場所でなら、軽さで有利なCanyonのUltimate CF SLXが有利だろう。
※エアロフレームは一般的にやや重くなる傾向がある

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エアロフレームの弱点

エアロロードバイクはスピードを出しやすい代わりに、トレードオフとして乗り心地が失われ、やや硬い感じになる。実験者も、「路面がきれいなベロドロームでの実験にもかかわらず、サーベロS5のほうが、路面の細かな凹凸を拾ってしまい、快適ではなかったね」とコメントしていた。

さらに、エアロフレームのもうひとつの弱点として、「横風を受けやすい」がある。面積が広いからですね。でもって、エアロフレームにはたいていディープリムホイールをセットで使うものなので、ダブルで横風に苦しむことになる。

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特定のコンディション下で、ただひたすらスピードだけを目指す!って目的にはエアロフレームは最適かもしれないけど、オールラウンドに楽しみたい方は、オーソドックスなフレームのロードバイクを選んだほうが良いのではないかなと思う。

まあ、むちゃくちゃエアロ形状でない限り、どちらに乗っても問題はないかなと。
※周囲にも、エアロフレーム使っている人、いっぱいいるし(*^^*)

ということで、平坦路での速さを追求するならエアロフレームはおおいにアリ!というお話しでした。いやあ、ロードバイク選びって、本当に悩ましくて楽しいですね。

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まったく関係ないですが、自分がいつか乗ってみたいロードバイクはLOOKの「695 Light」かなあ。

あ、かなりレーシーなモデルだし、乗りこなせる自信ないし、甚だしく身分不相応なのはわかっております。そもそも、フレーム本体価格は税抜きで499,800円!なので完全なる高嶺の花。

以上、速さを求める方にはエアロフレームはアリというお話しでした。