二輪で走る自転車は、バランスがキモ。勢いに乗った走行中は慣性のおかげでスイーっと走ってくれるが、それなりに乗り込み、距離もスピードも上がってくると、バランスの重要性がクローズアップされる。

「自分がバランスがあるかないか」はなかなか自覚できないもので、自のバランススキルの乏しさを痛感させられたのが昨年秋に「秩父滝沢サイクルパーク」に訪問し、BMXを体験させてもらったときだった。

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※ここはトップレベルの選手用コース

>> 秩父滝沢サイクルパークBMXコースの見学させてもらったよ(前編)

>> 秩父滝沢サイクルパークBMXコースの見学させてもらったよ(中編)

>> 秩父滝沢サイクルパークBMXコースの見学させてもらったよ(後編)


BMXでダートを走るのが、こんなにも難しいのか…って衝撃受けたもんね。見た目はなんてことない小さなバンクが、BMXで突っ込むととたんに怖くなる。狙い通りのラインで走れずに、オーバーランしてしまう…という、散々な有様だった。

ってなわけで、バイクの種類に関係なく、サイクリストはすべからくバランススキルを持っておくべきだと思う。そこで、Global Cycling Network の「自転車のバランス感覚を鍛える方法(How To Improve Your Balance On A Bike)」という動画を翻訳してみた。



視線は道路に置く

前方視界を確保しながら走るのって、カンタンなようで意外に難しい。バランスを保とうとすればするほど、足元を見たくなる心理が発動してしまうのである。

ロードバイクに不慣れなころは、目線がついフロントタイヤに行ってしまう。集中して走らねばと考えるあまり、視界が狭くなってしまう。

視線は道路、進行方向に置く。いきなりは難しいだろうから、まずは数メートル先に意識して目をやるとか、「タイヤばかり見つめていないか?」とときどき自問自答しながら遠くを見る習慣を身につけていただきたい。

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※進行方向に視線を送る

後ろを振り返る練習

真っ直ぐなラインで走りつつ、後ろを振り返ることはできるだろうか?こいつも何気に難しくって、ハンドルがふらついたり、ラインが乱れてしまうことがあるかもしれない。

たかが後ろを振り返ることが、そんなに重要なの?

むちゃくちゃ重要です。イベントなどで不特定多数のライダーが前後左右にいるときは、これができないと死活問題。


集団で走るレースイベントに出ない人は関係ないでしょ?

いえ、むしろ日常で必須なスキルでして、交通量が多い狭い一車線を走るとき、正しく後方確認ができないと接触事故のリスクが増してしまう。自分を守るために必要な技術なのです。

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ポイントは、「首と目線を利用し、なるべく体の軸を回転させない」こと。胸、腰、腕は前方に向けたまま、首を回して振り返る。それだけでも(車が近づいていないか、後続はちゃんとついてきているか、千切れていないかの)後方確認は充分にできる。

広い視野を確保して振り返りたい場合、前方の安全を確認した上で、片手を離して体の軸を半回転させる。片手でのハンドル操作になるので、ふらつきやすくはなる。

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ブレーキ操作が遅れる姿勢でもあるので、くれぐれも周囲の安全確認を怠らないようにしてほしい。なお、ダウンヒルではくれぐれも行わないように。(ダウンヒル中の振り返りは相当に危険)

余談だが、スムーズな後方確認には首、肩、肩甲骨周りの柔軟性が大事。自分は暇さえあれば、ストレッチポールで肩甲骨周りをほぐすようにしている。

ものすごーくゆっくり走るトレーニング

自転車で綱渡りをする感覚でゆっくり、まっすぐに走ってみるのもよいトレーニングだ。短時間かつ場所を選ばないので、いつでもどこでもできる。ライド前の待ち時間にやるとか、いいかもしれない。

ただ、慣れない間は立ちゴケのリスクがあるので、最初はスニーカーで試すのもよいだろう。もちろん、ノロノロではあっても、まっすぐなラインを保持するように。

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ゆっくり走りながらバランスを保つのって、日常で役立つシーンがすごく多い。

車と路肩の間をゆっくり通過するとき、細い道で対向する自転車とすれ違うとき、歩行者が突然車道に飛び出してきて、急ブレーキをかけた直後などなど、こちらの意思に関係なくスローダウンさせられるシーンってふつうにあるじゃないですか。そんなときにでもバランスを保てると、自信を持って公道を走ることができる。

ポジションを確認してみる

上記以外のそもそも論になってしまうが、「バランスが取りにくい=じつはポジションがズレている」…可能性も。

たとえば、もしもハンドルが遠すぎると、上体が必要以上に前に伸ばされることになり、そんな姿勢ではまともにバイクをコントロールするどころではない。

近すぎるハンドル位置も窮屈なものだが、少々アップライトなポジションにするほうがまだバランスは取りやすい。よって、ハンドル位置で悩んだら、遠くするよりは近づける方がよろしいかと。 ステムを短くするとか、ブラケットの角度をつけるなどして、ラクなポジションから最適な位置を探るのがよい
※ポジションはケースバイケースなので、自己判断できなければプロショップで診断してもらいましょう。遠回りのようで、結局は近道です)

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これまた余談ですが、こないだロードで走ってたら、「なんかサドル位置が後ろにズレてる気がする。サドルの場所をいじった記憶がないのにナゼだ…?」ってなりまして、1時間ほどは、「気のせいだろう」とガマンしてた。

が、やはりどーにもおかしいと思ってバイクを降り、サドル位置を確認したら、なんと2ミリほど後退してた。道理でバイクコントロールしにくいと感じたわけだ。ササっと元の位置に戻し、増し締めをして事なきを得た。こういうこともたまにあります。
※サドルの前後位置、シートポストの高さはEvernoteに写真で保管しており、迷ったらいつでも確認できるようにしてる。メンテの時間が格段に短縮されるのでマジでオススメ。

体幹トレーニング

身体を支える体幹を鍛えるのもグッド。体幹が強ければ、ロングライドの終盤でも疲れを感じにくいし、乗ってて純粋に楽しい。筋肉は裏切らないとはよく言ったものである。

まんべんなく鍛えたい、理論からキチンとおさえたいのなら体幹トレーニング系書籍を利用しよう。「とりあえずできればいいや」なノリなら、ウェブで十分。検索すれば紹介動画はいくらでもヒットする。

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多種多様なメニューを覚える必要はなくって、ベーシックなのをいくつか繰り返すだけでも大丈夫。

個人的にやっている体幹メニューの紹介とか、関連記事も下記に置いておきますね。 ちなみにリッチー・ポートは水泳を積極的にトレーニングとリカバリーに活用しているんですって。

>> 【体幹トレーニングが続かない人に朗報】 スキマ時間を活用すると習慣化できるよ

>> 全サイクリストにオススメしたい、5つの体幹トレーニング・メニュー

>> オクサマが伝授!エクササイズバンドを使った筋トレ&ストレッチ方法(前編:上半身トレーニング)

>> オクサマが伝授!エクササイズバンドを使った筋トレ&ストレッチ方法(後編:下半身トレーニング)

>> BMC・レーシング所属のリッチー・ポートがお勧めする、サイクリスト向けの水泳トレーニング4選

個人的なオススメは三本ローラー

動画内では触れられていなかったが、三本ローラーはバランススキルを鍛えるのにとても有効。ペダリングも上手になるし、高いケイデンスで回す練習にもなる。

やってみるとわかるが、三本ローラー上で後方を振り返るのは何気に難度が高い。大きくふらつくとフロントが泳いで脱輪しそうになり、「うぉぉぉぉぉっ、危ネェェェ!」って冷や汗をかいたことは何度かある。

2年半以上、ミノウラのモッズローラーを愛用していて、ノーメンテナンスでまったく問題なく使えている。雨で走れない日、早く帰宅できた平日の晩など、だいたい週に2~3回のペースで回している。有酸素運動とストレス解消の一石二鳥。

クーラーをかけ、扇風機を当てながら三本ローラーを回していると、「なんか自分、プロっぽい!ストイックなオレ、かっこいい!」という気分にさせてくれる効果もあります(笑)。

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以上、Global Cycling Network の「自転車のバランス感覚を鍛える方法(How To Improve Your Balance On A Bike)」をお届けしました。


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