ロードバイクは一人で走るより、二人で走るほうがずっとラクチン。互いが風よけとなって、ドラフティング効果を得られるから。

高速で走る車(&自転車)の後ろは空気抵抗が小さくなり、後続がラクに走れるようになる。別名、スリップストリームですね。

カンタンに言うと、ロードバイク同士が前後でくっついて走る行為。ロードバイクに乗らない人は、「あんなに近づいて、大丈夫なんだろうか」と不思議に思うかもだが、意味は一応ある。

ということで、Global Cycling Network で視聴した「プロサイクリストのようにドラフティングする技術の身につけ方(How To Draft Like A Pro)」を翻訳してみます。



ドラフティング走行で得られるモノ

後続は、6~7割の力で走れると言われる。これはものすごいエネルギーの節約になる。より速い巡航速度を維持できるし、よりエネルギーを節約できて、ロングなライドを楽しめる。

ドラフティング走行のスキルが身につくと、集団で自信を持って走れる効果もある。エンデューロとかレースのようなシチュエーションで焦らずに走れるようになる。

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※信じられないかもしれないが、後ろにつくと3~4割のエネルギーを節約できる

もちろん、高速移動しながら真後ろに張り付くのは本能的に怖い。よって、慣れ=練習が必要になる。理屈ではなく、なるべく多くの練習を積むことが必要。

どれくらい近づいて走ればいいか?

練習するにあたって必要なのは2人だけ。大きなグループで走らなくてもOKだ。最初は「ホイール半分」のスペースを開けて走ろう。つまり、35~40センチのスペースをタイヤ間に確保しておく。

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これくらいのマージンがあれば、前走者の後輪が左右に動いても対応できるし、ラインの微調整もしやすい。この時点で、「あ、同じスピードで走っているのに、一人で走るよりちょっとラクだな」というドラフティング効果を感じることができるだろう。

慣れるに連れて。徐々にスペースを詰めていこう。

ルックアップする(視線を上げる)

後続者は前走者の後輪ばかりを見ないように。目線は上げて、周囲の状況を確認すること。進行方向は変わるかもしれないし、穴ぼこや石ころがあるかもしれない。

練習開始の間もないころは、どーしても「タイヤがぶつからないだろうか…。ちょっとでも触れたらコケちゃう…」という恐怖が立って、つい目線が下る。 しかし、これはむしろ逆効果で危険なのだ。

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※ついついホイールに目が向いてしまうが…

無論、ときどきホイール同士の距離を確認するためにチラッとみるのは構わない。しかし、この練習で得たいのは、『サイクリストの第六感』的な感覚的な能力。タイヤを直接見ず、相手の身体がこれくらいの距離だと、タイヤはこれくらい近づく…というフィーリングを養うわけである。理屈ではなく、感覚。


この感覚は、サッカーでの「股抜き」に近い。

ドリブルで敵の股の間にボールを通すのを見て、「へー、足を広げたところにボールを蹴っているのか」と感じるかもしれないが違う。股抜きはかなり感覚的なモノで、いちいち相手が足を広げたところを確認して蹴っているのではない(それだと間に合わない)。

むしろ、「自分(ドリブラー)がこう仕掛けたら、敵はこう足を動かす(=開く)のはわかっているので、脚が開くことを見越した上で開いていない方向にボールを蹴り出す」かんじ。

ボールを蹴ったと同時に、敵は股を開くので、キレイにボールが通過するわけ。



この動画を見てみてもらうと、言わんとしていることが分かると思う。

風向きとポジションの話

基本は前後で一直線になるように走るのだが、風向きによって微調整はする。

風のない状態であれば、空気圧は真正面から来る。よって、後続は前走者の真後ろに付けばよい。

ナナメから風が吹いているときは、風向きに合わせて後続が少しズレる。難易度はやや上がるので、これも練習しましょう。

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このときの注意点は、「ホイールがハスらないように」すること。ハスるとは、「後輪と前輪が被ってしまう」こと。この状態でタイヤ同士がぶつかると、後続のフロントホイールが弾き飛ばされて、なすすべなく落車する。

濡れた路面とダウンヒル

下りや濡れた路面では、十分なマージンを確保しないとダメ。2人の間に「バイク2台ぶん」くらいのスペースをもたせ、停止や減速に備えておくこと。

下りの状況では、プロレースでも無い限りドラフティング走行はしてはダメ。 まじで危険すぎる。

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※下りではじゅうぶんにスペースを開けましょう

前後を交代するときのコツ

あたなたが前走者だとして、後続とポジションを交代するときに急ブレーキは禁物。前方に障害物がある状況では交代せず、安全を確保した上で行いましょう。

あと、シッティングからダンシングに移る際は、スムーズかつゆっくり目に立ち上がること。急にもがくと、自転車はほんの少し後ろに動き、後続の前輪に当ってしまう。

前に移動している自転車が後ろに下がる?そんなバカな」と思うだろうが、本当に後ろに動くのだ(4分19秒~)。なぜなら、立ち上がったときの体重のせいで、一瞬だけバイク本体が踏み台となり、脚の踏み込みに合わせて後ろに押し出されてしまうから。

ドラフティング走行時は、ダンシングに移るときも後続のことを考えて行おう。

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ドラフティング走行のさらなる注意点

前走者への注意事項として、「後ろをひんぱんに振り返らないこと」が挙げられていた。振り返ると、どうしても身体をひねることになり、バイク本体が左右にフレる。そのせいで、後続の前輪に接触してしまう危険性があるからだ。良かれと思ってした行為が、仇となる可能性がある。

あと、ドラフティング走行は人や車のいる公道でやってはダメ。関係ない人を危険にさらしてはいけない。やるのなら、安全が確保されたサイクリングロードとか、サーキットでのエンデューロとか、そんな状況下でのみ行いましょう。


以上、Global Cycling Network の「プロサイクリストのようにドラフティングする技術の身につけ方」をお届けしました。

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ちなみに自分はドラフティング走行するのは、ほぼサーキットに限っている。歩行者とか、信号とか、車が来ないって安心できる条件が揃っていないと怖くてできないのだ。自分のスキルも大したものではないことは、十分にわかっているしね。

ロードバイクトレーニング書籍やムックは数冊通読することをオススメする。我流とか中途半端な知識だけだと、変な癖もつくし、結局遠回りになってしまうことが多いから。

皆様も、ドラフティング走行時は、ご自身と周囲の安全確保を最優先させてくださいませ。