シマノのロードバイクコンポーネントのデュラエースとアルテグラがアップデートされてしばらく経ち、「そろそろ新しいデザインも見慣れてきたな…」、「ていうか、シャドータイプのリアディレイラーのデザインって、従来よりスリムで硬質なイメージでそれはそれで悪くないな…」と思い始めている今日このごろ。

しかも、ミドルゾーンで普及タイプの105(R7000)が6月にアップデートをするそうで、これが出揃ったらどのコンポーネントも選り取り見取り・・・状態になる。

>> フルモデルチェンジしたシマノの105(R7000)情報まとめ

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選択肢が増えることはマニア(=自分を含む、一部の頭がいかれちゃっている方々)にはウレシイことなのだが、ロードバイク初心者の方からすると違和感があるそうで、

「見た目はほぼ同じのコンポーネントなのに、なんでデュラエースはアルテグラの2倍もするの?デュラエースってボッタクリなの?」

という質問をときどき受ける。

イヤイヤイヤイヤ!そうじゃないんですよ!材質とか製造工程等もいろいろアルテとは違ってですね…細部を観察するとフィニッシュも違うし、操作性能とか精度の目に見えない差が歴然とあって、デュラはシマノの技術をかき集めて造ったピュアレーシングマシンなんですよぉ… 

とかなんとか説得を試みるのだが、ぶっちゃけ自分も具体的に何がどう異なるのか、デュラエースとアルテグラの価格差の根拠はなんなのか…ふんわりとしかわかっていない。

アルテとデュラの価格差はどこにあるん? という疑問は海外にもあるようで、Global Cycling Network がPR動画としてこんなのを公開していた。

Shimano Dura-Ace Vs Shimano Ultegra | What's The Difference?



スポンサードコンテンツなので、「デュラがアルテの2倍も高い理由」という切り口ではなく、「なぜアルテはデュラの半分の価格で提供できるのか」ってトーンでの紹介だったが、それはそれとして有益な動画だったので翻訳してご紹介しよう。

デュラエースとアルテグラの機能面の差は(ほぼ)ない

性能面において、両者間にはぶっちゃけほとんど差がない。動画に登場するダンさんは元プロサイクリストだが、彼でさえ「もし目隠し状態で乗り比べたとしたら、デュラエースとアルテグラを言い当てる自信がない(笑)」って告白していたほど。現行のR8000とR9100はそんなに差が縮まっているというのか…。

じゃあ、「なんで価格差が2倍もあるの?性能差がないなら、デュラエースじゃなくてアルテグラを買えばいいんじゃない?」という気がするかと思う。で、その考え方はまあそのとおりでして、ほとんどのホビーサイクリストはアルテグラで十分すぎるほど事足りる。デュラエースはあくまで趣味のセカイのモノとして自己満半分で買うもの…なのかなと。

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デュラエースにしたから速く走れる(登れる)といったものではまったくない。余った予算を他のアイテムに振り分けるのが合理的な考え方だと思う。
※理性だけで済まないのが趣味の世界ですが(笑)

シマノのエンジニアは何と言ってる?

なんと、シマノの中の人(Tim Gerrits さん:シマノヨーロッパ製品マネジャー)さんも性能差がないことはアッサリ認めていた。アルテグラとデュラエースはひとつのパッケージとして製造されており、「性能&機能に関しては同じ」と断言している。「これはシマノの伝統でもある」とのこと。

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ただ、 性能は同じでも、向いているベクトルが違う。アルテグラはホビーライダー用であり、幅広い用途に向いたように作られている。それに対し、デュラエースは完全にレース向けとして作られている。

具体的な両コンポーネントの差は、製造プロセスと原材料。それによってアルテグラは半額の価格設定を実現できている(代わりにやや重い)。

ちなみにデュラエースを開発する(もしくはモデルチェンジ)ときは、エンジニアらは「コストの障壁はいったん忘れて、プロレーサーが要求する製品を作れ。妥協せずにカンペキなマシンを目指せ」というスタンスでおこなうとのことだ。

「デュラエースはコンポーネントのフォーミュラ1なのです」(Tim Gerrits さん)

アルテグラとデュラエースの差

ご存知のとおり、両者間の価格差は約2倍。つまり、アルテグラ × 2セット = デュラエース1セットである。

フルセットの重量差はどうか?

たとえば、デュラエース9170(Di2 ディスクブレーキ仕様)とアルテグラR8050(Di2 ディスクブレーキ仕様)だと

・デュラエース:3,566グラム
・アルテグラ:4071グラム
差:505グラム
※「え!500グラムも違うの?」と驚いたかも知れないが、これは「ホイールを含んだ差」であり、純粋なコンポーネントだけの差ではない。

デュラエースにもアルテグラにも機械式と電動式(Di2)があり、さらにキャリパーブレーキモデルとディスクブレーキモデルがあって、それらを全部比較するのはちょいと難しいので、「Di2のディスクブレーキ」で比較している。

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まずはSTIレバーだが、見た目は「どこが違うの?」ってくらいそっくり。どちらもレバーはカーボン製。だが、ここにも重量差はあって、どこで差がつくかというと内側のパーツの原材料の違い。たとえばデュラエースはブラケットがカーボンレジンでアルテグラはグラスファイバーレジン・・・なのだそうな。(見た目ではわかんない)

なお、ブレーキレバーの調整幅はアルテグラのほうがワイドに設計されており、手の小さな人であれば、むしろアルテグラを積極的に選んだほうが良いだろう。

次にカセットスプロケット

デュラエースは6枚が鉄で5枚がチタン。アルテグラはすべて鉄。

デュラエース:175グラム
アルテグラ:232グラム
57グラムの差

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アルテグラは幅広いユーザーに使えるよう、スプロケットの種類も多い。11-34T までのワイドな組み合わせも選べるのに対し、デュラエースではそこまでの幅は用意されていない。(マックスで32Tまで)

そしてリアとフロントのディレイラー

ここでも原材料は少しづつ違ってて、リアディレイラーだとデュラエースのケージはカーボンだがアルテグラはアルミニウム。フロントディレイラーのケージはデュラエースはアルミニウムでアルテグラは鉄・・・と小刻みに異なる。

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※リアディレイラー
デュラエース:204グラム
アルテグラ:242グラム 38グラムの差


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※フロントディレイラー
デュラエース:104グラム
アルテグラ:132グラム
28グラムの差

前後のディレイラーを足した重量差は「66グラム」となる。

さらにチェーン

ぱっと見ただけでは違いがわからないが、重量差はもちろんあって(チェーンリングの大きさに寄ってチェーンの長さも変わるので一概に言えないが)、こんなかんじ。

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※50-34Tのチェーンリング
デュラエース:609グラム
アルテグラ:690グラム
81グラムの差・・・意外にデカい。前後のディレイラーの差よりよほど大きい。アルテグラを使いつつ、チェーンだけデュラエースってサイクリストは多いが、重量差が大きいことを知ってのことだろう。

んでもって、ディスクローター

デュラエースには熱放出用のコーティングが施されているが、アルテグラにはない。ただ、構造は同じだし、ブレーキング性能も同じ。なお、重量差はわずが10グラムである。

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さらにDi2

ここも基本的には両者で同じ。どっちもシンクロシフトだし、シフティングの細かなカスタマイズセッティングも可能。

最後にホイールの比較

デュラエースとアルテグラの差は300グラムほどあるのだが、直接対決させるのはちょっとフェアではない。というのも、デュラエースにはチューブラーモデルがあって、アルテグラにはクリンチャータイプしかないから。

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※デュラエース(右)とアルテグラ(左)

まあ、一般的に「コンポーネント」を語るときはホイールはセットになってないことが多いし、そもそもホイールは各サイクリストがお気に入りのを使っていると思うので、ホイール同士の差を語るのはあまり意味がない気はする。


ということで、Global Cycling Network は「どっちを買いましょう」とは言っていない。事実を並べただけなので、あとは消費者がお好きなのを選べばいいですよ…ということか。

自分も、初めてロードバイクを買うって人から「どっちを選べばいい?」と尋ねられたら返答に困る(笑)。


自分なりの意見をまとめておくと、

  • 合理的に予算配分したいならアルテグラ
  • お金に余裕があるならデュラエース
  • ワイドなスプロケット構成を選びたいならアルテグラ
  • とにかく軽量化を求めるならデュラエース
  • コンポーネントとか機材の良し悪しにこだわりがなければアルテグラ(もしくは105)
  • 自己満に浸り、バイクを愛でながら晩酌するならデュラエース(笑)

だろうか。

事情と好みはひとそれぞれなので「このコンポーネントを買いましょう!」と結論は出せない。ただ、個人的には40歳以上のサイクリストにはデュラエース推しでいきたい。


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