サイクリストは大きく、「ヒルクライム好き派」と「ヒルクライム好きじゃない派」の2種類に分かれるもの。

もともと坂が好きな人はそうはおらず、たいていは後天的に好きになる。自分がヒルクライムに初めて挑戦したのは、最初のバイクを買ったちょうど3年後だった。それも、人に誘われてしぶしぶ…だったことを告白しておく。こんなキッカケがない限り、自発的に峠に行くことはなかなかない。

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※笑顔ではなく、苦悶の表情です

それまでは、「坂をわざわざ登るなんて、なんとまあ物好きというか、体力が有り余ったお方たちなのだろう…」と思い、ひたすら平地専門だった。自分が峠を好きになるなんて、1ミリも想像できなかった。ところが今ではある程度の勾配がないと楽しめなくなってしまっていて、人間って変わるもんですね…。

GCNで、「体力を一切アップしなくても、ヒルクライムが速くなる5つの方法(5 Tips To Climb Faster Without Being Fitter | GCN 's Pro Tips)」が紹介されていたので、翻訳してご紹介しよう。



ヒルクライムは心の持ちよう

いきなり身もふたもない精神論だけど、メンタルの充実は大事。心身共に整っていないのであれば、峠は登らない方がいいと思う。とくに寝不足で山に行くのは自殺行為でしかない。

まあ、充実していても坂は苦しくて辛い。引き返したくなることはしょっちゅう(引き返したことはないけど)で、「ちきしょうめ…」と斜度を呪いながら無心で漕ぐ。どのみち坂はしんどいし、その事実は変わらないので、ならばいっそ受け止めてしまおう。苦しいかな、つらいかな…と心配するのはムダ。だってどうせ苦しくて辛いのだから。

ちなみに、「体力が付けば苦しさが紛れるのではないか。楽に走れるのではないか」と考えるかもしれないが、甘い。そうはならない、ただ「速く登れるようになる」だけだ。何をどうあがいても、体力がいくらつこうとも、ヒルクライムは苦しいものなんだと受け止めてしまえば、辛さも薄まる。心拍、乳酸、痛み、すべてを当然のものとしてしまおう。

ギアの選択を侮らない

精神力がある程度大事とは言え、ギアの選択も大事。根性だけで峠は越せない。プロは最近では軽めのスプロケットを使うことも多く、だったらアマチュアやホリデーライダーが使わない理由はない。

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アルテグラの11-28Tを使ってます

ゴリッ…ゴリ…としかペダリングできてないとしたら、それはギアが重すぎ。体力に自信がないならチェーンリングはコンパクト(50T)にして、スプロケットには最大32Tがあるものを選べば、ゆっくりではあるが激坂を足をつかずに登り切ることができるだろう。

自分は1年ほど前には25Tだったスプロケットをアルテグラの11-28Tに交換したことで、脚力をセーブしながら登ることができるようになった。

>> シチュエーションに合わせてスプロケットを交換するという楽しみ方(ロードバイク編)

>> シチュエーションに合わせてスプロケットを交換するという楽しみ方(ミニベロ編)


25Tしかなかったころは、「こ、このギアでクリアするしかないのか…軽いギアはもう残されていないのか…」と絶望し、激坂が怖かった。

シッティングか?ダンシングか?

どちらが良いかの絶対的な回答はない。なぜなら、その人の体力、コースレイアウト(斜度&距離)、走り方の好みに左右されるからだ。

一般論として言えば、「95%はシッティングで、残りの5%を意識してダンシングするとよい」とのこと。自分の感覚でも同意できる。お尻周りの血流がよくなるし、シッティング時には使えていなかった、違う筋肉を利用できるのでリフレッシュ効果も得られる。


でも、ダンシングって余計にパワーを消費して、結果的に疲労を早めるのでは?


自分もそう考えていた時期があって、その頃はなるべくダンシングしないよう心がけていた。が、「休むダンシング」もある。シッティングしっぱなしで疲労したハムストリングを休ませたいので、わざと立ち上がって回すこともする。


その方法は、ウォークライドの須田さんに実走セミナーで学ばせていただいた。

>> 実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した

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※実演して講義してくださる須田さん


ギアを2段ほど重くして、体重を利用して漕ぐ。足の筋力で踏み降ろすのではなく、ペダルに自重を乗っけるイメージ。10秒ダンシングしてはシッティングに戻り、ちょっと疲れがたまってきたなと感じたらまた立ち上がる・・・を繰り返す。

身体でコレを知れたのは大きかった。 今も登りで必ず意識している。

ヒルクライム上達の近道は「痩せる」こと

ぐうの音も出ない正論だが、ほんとこれ。「軽さは正義」はロードバイク本体だけでなく、体重にも当てはまる。山でもがいているときほど、己の腹の脂肪を呪うことはない。

Global Cycling Network でも過去に実験してたんだけど、荷物なしで登るのと、5キロのバックパックを背負って登ってかかったタイムを比較したら大きな差があった。

ハードなトレーニングですでに低い体脂肪率を実現できている方でない限り、大抵の現代人は痩せる余地があるはず。数キロ落とすことができれば、パワーは同じであれば、確実に速く登れる。 もしくは同じスピードでラクに走れるようになる。高価な軽量パーツを買う必要もなく、コスパは非常に高い。

仮に2キロ体重を落とすだけでもぜんぜん違う。「たかが2キロか」と思うかもしれないが、牛乳パック2本ぶんだ。ジャージのバックポケットに2本牛乳パックを突っ込んで2キロ増し登るの、ぜったい嫌でしょう?体の脂肪がそれだけ減ったら、走りやすくないわけがないのである。

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ペーシング

ヒルクライムレースに初参加した人あるあるは、序盤に張り切り過ぎて、後半にヘタること。アドレナリンが出まくって、ついつい調子に乗ってしまいやすい。

他の速い人に惑わされず、マイペースで回す。人にバンバン抜かれても気にしない。マイペースがどれくらいかわからなければ、「ちょっと楽すぎるかな?」と感じる程度と覚えておくといい。体力は後半半分に温存させておこう。

あと、スタートラインに立つ前まではなるべく体力を温存しておきたいので、スタート会場まで自走で行くのであれば、あまり追い込まないように。時間に余裕を持ってのんびり行けるスケジュールを組みましょう。

視聴者からのアイデア

以上が「体力を一切アップしなくても、ヒルクライムが速くなる5つの方法(5 Tips To Climb Faster Without Being Fitter | GCN 's Pro Tips)」の翻訳紹介でした。

上記以外にも、動画のコメント欄で視聴者が各々のアイデアをシェアしていたので、それも添えておきますね。

軽いバイク(A lighter bike)


定番の対策。高いバイクを買えなくても、ライトを外す、軽量タイヤを使う、ボトルは1本、アウターのチェーンリングを外してインナーだで走る…のも可能。

適切な空気圧(good tire pressure)


何が適切なのか断定は難しいところなんだけど、やや高めにした方がトラクションはかかりやすい。が!山頂は気圧が上がってタイヤがバーストしてしまうこともある。上級者は山頂に到着するやいなや、バルブをチョンチョンと触って少し空気を抜くのだそうな。(自分はやったことない)

自分は山に行くときもそうでないときも空気圧は一定に保っていて、フロント7.0BAR、リア7.3BARにしております。これで問題が起きたことは一度もない。

よく寝る(sleep well)


言わずもがなですね。最低でも6時間を切ってはダメだと思う。できれば7時間。理想は8時間の睡眠。

バイクの整備(maintain bike)


これも当然。山でのトラブルは季節によっては命に関わるし、仲間にも迷惑がかかる。パンク修理キット、予備チューブ、小型ポンプ等は万全に整えておきましょう。

適切な食事(eat with care)


疎かにしやすいですが、当然ですね。

ドラフティング(draft)


斜度が緩い場所では、ヒルクライムであってもドラフティング効果が得られます。

トイレをレース前に済ませる(go to the toilet before you start)


何気に大事。膀胱を軽くするという意味もあるし、尿意を抱えたまま走るのは大きなストレスだから。大きいほうは、なるべく前日にひねり出しておきましょう。


あとは、財力に物を言わせて、電動アシスト付きのロードバイクを投入するのもアリかも(笑)。 

>> ヤマハの電動ロードバイク、「YPJ-R」に試乗してみた(機材紹介編)

>> ヤマハの電動ロードバイク、「YPJ-R」に試乗してみた(ヒルクライム@檜原村)

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※激坂を実業団選手のスピードで登れます(^o^)


自分は目下、アンジェラ・ダックワース氏著の「やり抜く力 GRIT(グリット)」を読みつつ、減量に励んでおります。


以上、皆様の楽しいヒルクライムのお役に立てば幸いです(^o^)


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