乗り慣れているサイクリストは経験で感覚的にわかるけど、初心者だとちんぷんかんぷんなのが「チェーンリングとスプロケットのギア比」ではないだろうか。

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常識的な体力がある方なら、(一般人向けに最適化されている)完成車を買っておけば問題はないのが実情。ただ、走りこんで慣れてくると、「ちょっと坂で辛いなあ」とか「このギアのこのギアの間にもう1枚あると、自分にとって快適な巡行速度で走れるんだが…」ってなってくるもの。

そこで、GCNで「チェーンリングとカセットスプロケットの正しいギア比の見つけ方(How To Choose Your Chainrings + Cassette)」という動画があったので、翻訳しつつ紹介しますね。



ギア比の基礎

単純に言うと、カセットスプロケット(リア)のギアが小さければ小さいほど、チェーンリング(フロント)が大きければ大きいほど、スピードが出る。

前後のギア比に落差があればあるほど、後輪は高速回転する。当たり前の話ですね。

ちなみに、52Tとか12Tとかって数字はギアの出っ張りの数を表してまして、Tは「teeth(歯牙)」の頭文字。ずっと使っていると摩耗してくるので、どこかのタイミングで交換は必要になる。 

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/ Rotor の Q-RINGS、2015年春から使ってますが、ぜんぜん現役 \

カセットとチェーンリング組み合わせの具体例

チェーンリングのサイズは様々だし、カセットスプロケットの種類はさらに多様。すべての組み合わせをひとつひとつ挙げていってもただの数字の羅列になってしまって面白みがない。そこで、いくつか例をとってみよう。

  • フロント52T×リア11Tでペダルを1回転させた場合、進む距離は「9.6メートル」
  • フロント34T×リア25Tでペダルを1回転させた場合、進む距離は「2.9メートル」
※一般的な700cホイールの場合です


コンポーネントによって選べるカセットスプロケットの組み合わせは微妙に異なる。グレードによっては、「欲しいギア比のカセットスプロケットが無い!」ってことも。
※まあ、コンポをミックスして使えば問題にはならないですが

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ちなみにシマノを例に取ると、こんなかんじ。(2017年8月末時点調べ)

デュラエース(CS-R9100)

平均重量 175g (11-25T)  ※シマノ公式サイト

オプション 1 【11-25T】
11-12-13-14-15-16-17-19-21-23-25

オプション 2 【11-28T】
11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28

オプション 3 【11-30T】
11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30

オプション 4 【12-25T】
12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25

オプション 5 【12-28T】
12-13-14-15-16-17-19-21-23-25-28

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アルテグラ(CS-R8000)

平均重量 292g(11-32T ) シマノ公式サイト
11-25T, 11-28T, 11-30T, 11-32T, 12-25T, 14-28T の6種類
※詳細な組み合わせは紹介されていなかった

105(CS-5800)

シマノ公式サイト

オプション 1 【12-25】
組合わせ 12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25

オプション 2 【11-28】
組合わせ 11-12-13-14-16-17-19-21-23-25-28

オプション 3 【11-32】
組合わせ 11-12-13-14-16-18-20-22-25-28-32

ティアグラ(CS-HG500-10)

シマノ公式サイト
  • 11-12-13-14-15-17-19-21-23-25
  • 12-13-14-15-17-19-21-23-25-28
  • 11-12-14-16-18-20-22-25-28-32
  • 11-13-15-17-19-21-23-26-30-34

  • 11-28T
  • 11-42T

このふたつは、詳細のギア構成比が未記載だった。

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/ BOMA の Refale には105(11-28T)を使ってます \

チェーンリングのサイズ

「53-39T」はいわゆるノーマルと呼ばれるサイズ。ほとんどのプロサイクリストがシーズン中にメインで使うのがこれ。平均速度の高いタイムトライアルだと、55Tを使う選手もいるそうだが、一般サイクリストはほぼ検討しなくてOKな代物。

プレゼンテーションしているダンさんは元プロサイクリストなのだが、引退した現在はコンパクトチェーンリング(52-34(or 36)Tを使っている。

力が有り余っている若者とか、相当の脚力の持ち主でない限り、ノーマルをあえて選ぶ必要はないかなと。

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大半のサイクリストはコンパクトチェーンリングでたいていの地形とシチュエーションをカバーできるが、どうしても体力的に不安であれば、トリプルという3枚ギア構成もひとつの方法。

3枚目を保険として持っておけば、ライドの終盤で体力が残っていないときや、激坂に出会ったときに使うことができる。

ただし、マウンテンバイクでは馴染み深いギア構成で、完成車ロードバイクではあまり見かけない。どうしても3枚にしたい場合、リアディレイラー交換も視野に入れたカスタマイズが必要になる可能性が高い。

カセットスプロケットのサイズ

7段変速しかできなかった時代は、トップが11Tでローが25Tという組み合わせが多かったそうで、7枚で11から25Tをカバーするのは難しかった。

というのも、7枚で11Tから25Tを構成すると、ギア同士間のギャップが広がりすぎてしまい、「ちょうどよいギア比で走れない…」となってしまうから。

ちなみにCS-7400-7(7段のデュラエース)のギア構成を調べてみたら、5種類あった。

  • 12-13-14-15-16-17-19T
  • 12-13-14-15-17-19-21T
  • 13-14-15-16-17-19-21T
  • 13-14-15-17-19-21-24T
  • 13-15-17-19-21-23-25T


25Tを求めると、トップが13Tにならざるを得なかったようだ。

今は11段変速が主流なので、同じ11-25Tでもクロスレシオでギア比が滑らか。地形変化や体力消耗に影響されず、ケイデンスはそのままで快適なペダリングが可能である。各社の技術革新に感謝したい。

どのギア比が自分に最適なのか?

ダンさんも「ギア構成はその人の体力が、走り方の好み、コースによっていくらでも変わるので、これが正解ってハッキリと示すことはできない」と断っている。

その上で、目安となる方法も明示しており、まずはこんな自問自答をしてみよう。

「自分はレース志向か?」

草レース等で戦いたいとか、スピード重視であれば、クロスレシオ目のカセットスプロケットがよい。軽いギアを犠牲にしてでも、トップギアを小さく(11Tに)していく方向だ。

「自分はのんびりライド派か?」

マイペースで走る、競わない速度で山を登る機会がメインなら、軽めのギア(28Tかそれ以上)を持つカセットスプロケットがよい。登りが苦手なら、30Tか32Tを備えたカセットスプロケットがベターだろう。

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さらに、成人には関係のない話だが、ジュニア年代であれば「フロントは52Tで、リアが14Tまで」というレギュレーションが多くの国で採用されている。


余談ですが、自分のギア比構成はこんなかんじ。

ロードバイク(BOMAのRefale)

・チェーンリング:50-34T
・カセットスプロケット:11-28T
Rotor の Q-RINGSを使ってます。いわゆる楕円リングです。

>> ROTORの楕円リング、「Q-RINGS」を継続インプレッションさせていただいています

>> シチュエーションに合わせてスプロケットを交換するという楽しみ方(ロードバイク編)  


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カセットスプロケットはもともとシマノ CS-6800 11S 12-25Tを使っていたんだけど、激坂でもう1枚欲しくなるので、2016年夏に105 CS-5800(11-28T)に変更して、自分の脚的にはちょうど良くなりました。

ミニベロ(タイレルのCSI)

・チェーンリング: 53-39T
・カセットスプロケット: 12-25T

ロードよりチェーンリングが大きいですが、ホイール径が小さいので、このサイズでもなんとか登れます。


以上、「チェーンリングとカセットスプロケットの正しいギア比の見つけ方(How To Choose Your Chainrings + Cassette)」の翻訳紹介でした。


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