カンパニョーロが12速化コンポーネントを発表した。スーパーレコードとレコードという高嶺の花でのみではあるが、「ついに来たか…!」という気持ちでいっぱい。もちろん世界初となる。(マウンテンバイクではスラムがすでに12速化は果たしているけど、ロードコンポでは世界初)

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※画像引用元はカンパニョーロ12速化特設サイト

シマノ、スラム、そしてカンパニョーロがロードバイクコンポーネント3大メーカーで、なんとなく「業界をリードするシマノがリリースして、それに2社が続くのだろう」とタカをくくっていたら裏切られた。

>> カンパニョーロがスーパーレコードとレコードを刷新 世界初の12速ロードコンポーネントに(シクロワイアード)

ということで、こないだのシマノ105(R7000)に続きまして、カンパニョーロの12速化についてあれこれ調べてみたまとめをお送りしようかなと。


参考にしたのは上記のシクロワイアードの記事と、下のcyclingtips.com の記事。

Campagnolo goes 12-speed with Super Record and Record rim and disc groupsets

cyclingtips.com による「First ride and review vlog: Campagnolo 12 Speed Groupset」というインプレッション動画もあったので、貼っておこう。(これもいつか翻訳紹介したい)



ロードバイクのコンポーネントの12速化ってすごいの?←超すごいです

Super Record (スーパーレコード)とセカンドグレードのRecord (レコード)のフルモデルチェンジは2014年以来の4年振り。モデルチェンジスパンはシマノより長い。そのぶん、革新の度合いも大きいということだろうか。

今回の12速化はヒモ(機械式)のみで、電動コンポのEPSはまだ。まあ、発表は時間の問題でしょう。そしてシマノとスラムが追随するのも間違いない。ただ…個人的には「ギアは11速もあれば十分でしょ…これ以上増やす意味あるの…?」って思う。BOMAに載せてる先代アルテグラ(6800系)は4年半になるけど、11速で困ったことは全くない。

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※スーパーレコード(リムブレーキモデル)

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※スーパーレコード(ディスクブレーキモデル)

まあ、何事も上を目指せばキリがなく、人間の欲望は尽きないもの。一度経験すると「もう11速には戻れんわー」ってなってしまうのかもしれない。いまだに電動化に踏み切れないのも、贅沢に慣れてしまうのが怖いからである。

あと、コンポーネントってなかなか故障しないものでして、ワイヤーを定期定期に交換して整備していれば「半永久的に使えんじゃねーか」ってくらい超快適に動作する。そういう意味で、6800系アルテグラには満足しかない。(よってR8000になかなか交換できないw)

なぜカンパニョーロは12速化に踏み切ったのか

ただ1枚ギアを増やしたかっただけではない。もちろん、ユーザー側にはそのように見えてしまうのだが、それ以上の正当な理由がカンパニョーロにはあった。

カンパニョーロが11速ギアをリリースしたのは2008年。50/34Tのコンパクトクランクは当時から存在したが、カセットのギア構成比はやや狭かった(最大ギアが26Tか25T)。

11-25T か 11-26T のカセットを11枚のギアでまんべんなく動かし、かつあらゆるレベルのユーザーニーズに応えるのは難しかったそうな。ただ、昨今のトレンドはワイドなギアレシオ。でもってコンパクトクランクもホビーラーダーの間では一般的になったし、プロレーサーでさえ28Tを使うのが当たり前になってきた。そんな背景から、カンパニョーロは従来のレシオではダメだってことで1枚増やすことにしたそうな。(へぇ~)

広報マネジャーの Joshua Riddle氏によると、「12速化によってライダーはスイートスポットをより見つけやすくなる。往年の 11-23Tのような小刻みな変速調整が可能になった」と述べている。

リアディレーラーが12速化したことでもたらされるもの

自称リアディレーラー愛好家として、気になるのはやはりその形状。上記のシクロワイヤードの記事から引用すると、

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随所にカーボンを多用した高級感あふれる作りは従来通りだが、12速対応となったリアディレイラーはその形を大きく変えることとなった。

やや細長い形状のボディが採用され、かつプーリーケージも前作よりスマートなデザインとなった。

新たにダイレクトマウント方式に対応した他、プーリーの歯数も1T大径化して12Tに。上側のプーリーは歯を高く、反対に下側プーリーは歯を低くすることでそれぞれ変速性能に最適化させている。

なるほど、ボディは明らかにスリムかつ長くなった。プーリーケージも延長されている。 12Tになったことでフリクションも低減されるそうだ。ちなみに下のプーリーの歯は静かにチェーンを回すために丸めの形状で、上の歯はチェーンを横方向に動かして変速させるのに適した四角に近い形状をしている。

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高級感があるルックスか?というと……どうなんだろう…よくわからない。写真だけではなんとも判断がつかないが、カッコいいのではないでしょうか。
※CyclingTips.com は「旧型の良さであるエレガンスさが失われた」と表現していたが

ギアが増えるのは嬉しいことだけど、ユーザーが気になるのは「ホイールの互換性はあるのかないのか」だろう。ホイール交換が前提になると、さすがにコンポーネントとホイールを一気に刷新する予算はないし、いったん保留にしよう…となりがち。

だが、安心してほしい。

既存のフレーム/ホイール規格を維持したまま12速化できるよう互換性も考えられており、スプロケットも1枚1枚を薄く設計することで従来幅に収まる作りとなっている。

これはうれしいニュース。

チェーンは問答無用で12速専用品を使わねばならないが、これは受け入れよう。スプロケットの歯の厚みにあわせて従来よりも薄くなっているが、カンパニョーロによれば耐久性や変速精度等は11速と変わらないとのこと。よかった。
※シフター&ブレーキケーブル類も12速用に刷新されます

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重量が11速モデルに比べてどう変化するかはわからないが、気になるポイント。スプロケットは歯が1枚増えるので重量増になるのは確実な気がするけど、チェーンは細身なのでちょっと軽くなるはず。

カセットスプロケット構成は?

12速化されると、ギア比構成はよりクロスレシオになり、コースや体力に合わせてきめ細かな変速ができる。そのせいか、カセットスプロケットはなんと「11-29T」と「11-32T」の2種類のみ。なんだかとっても選びやすい。

よって、リアディレイラーのケージの長さはワンサイズ(72.5mm)のみ。これだけであらゆるコースとユーザーニーズに応えられるわけ。自分だったら「11-29T」をチョイスするかなと。(買えないけど)

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ギア構成としては新たに「16T」が追加され、11~17Tまでが1T刻みで変速できる。これはさぞかし快適であろう。「このギアとこのギアの間に、もう1枚あってくれたらいいのにな~」という不満が解消される。

小さいほうのギア6枚は先代と同じスチール製(1枚づつバラの構成)。大きいほうの6枚は3枚×2に分割されており、スチールの削り出しで作られている。先代はチタン製だったそうなので、もしかすると重量増になっているかもしれないが、耐久性は同等かそれ以上確保されていると思われる。

フロントディレイラーはどう進化した?

フロントディレイラーも形状を刷新されたそうな。

従来と同じくセミロングアームを採用しているが、変速時に動作するピボット部を2つに増やすことでより迅速なシフトアップを可能にしている。ワイドタイヤを使用する際にアームが接触しないよう、ケーブルのクランプボルトを前後で位置変更できる機構も備えている。

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フロントディレイラーってあんまりまじまじと見つめるものではないけど、細かなチューニングが施されているのがわかる。なお、スーパーレコードはカーボン製だが、レコードは金属製となる。

ブラケット部分の変化は?

もともとエルゴノミックで手に馴染むデザインのエルゴパワーレバーだが、さらに改善されている。おなじみのブラケットサイドにシフト用レバーが配置されるのはこれまで同様。

レバー形状そのものに大胆な変更はないが、手の小さい人にはありがたい「リーチ調整」がよりきめ細かにできるようになっている。


主な変更点を挙げると、

  • ブレーキレバーの湾曲が大きくなった
  • シフトダウンレバーが大型化
  • シフトダウンレバーの”遊び”が少なくなり、より素早いシフトを実現
  • シフトアップレバー(親指で操作するほう)は手前に傾斜され、指が届きやすくなった
  • ただし、シフトアップレバーはポテンザやEPSよりやや高い位置に置かれており、下ハンドルからの操作性は一歩劣る

ここでいう「指が届きやすくなった」とは、ブラケットポジションでの変速操作のことではなく、下ハンドルを握っている状態での「親指での変速のしやすさ」を表していると思う。


ディスクブレーキ用のエルゴパワーもヘッド部が8mm高くなるのみとサイズが抑えられており、使い勝手を追求したデザインを獲得している。

とのことで、操作感覚はほぼ同じになっているのもトピックス。

もうひとつニュースが、多段階シフトがさらに拡大したこと。1回のレバー操作で「ダウンシフトは5段、アップシフトは3段」も変速が可能。なお、フロントディレーラーにはマニュアル操作によるトリム機能がついている。

クランクの4アームデザインは変更なし

やや丸みを帯びた形状になっただろうか。12速用に歯先のデザインは最適化されたが、4アーム8ボルト構成は従来と同じ。従来のチェーンリングとの互換性も維持している。空力的には前作より改善されているとのことがだ、ホビーライダーにはあまり関係ない話ではある

SUPER RECORDではスパイダーアームがチェーンリングの端まで延長された他、上下のアーム同士がブリッジで繋がれることで高出力にも対応した剛性を獲得した。

とのこと。

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チェーンリングは53/39T, 52/36T, 50/34T の3種類で、クランク長は165、170、172.5、175mmの4種類。小柄な人向けの160mmはない。クランクとチェーンリングで新旧混ぜて使えるかどうか…という問いに対し、カンパニョーロは「互換性はない」と回答している。

ブレーキの変更やアップデートは?

リムブレーキはノーマルキャリパーとダイレクトマウントの2種類が用意される。ディスクブレーキのブレーキローターはセンターロックタイプの140mmと160mmをラインアップ。

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前後共にデュアルピボットとなり、ストッピングパワーは増加した。シングルピボットだったリアのキャリパーブレーキは廃版となる。なお、キャリパーブレーキは最大28cの太さまで脱着が可能。

12速スーパーレコードとレコードの差は?

実際問題、機能面ではほとんどない。ブラインドテストをしても気づけないレベルではないか。差は素材やベアリングにとどまる。

たとえば、スーパーレコードにはCULTセラミックベアリングが使われているが、レコードはちょっと下のグレードのUSBとなる。あるいはレコードのフロントディレイラーはすべてアルミニウム製なのに対し、スーパーレコードはカーボンが使われているとか。

見た目で大きく異なるのは、クランクセットの形状くらい。(スーパーレコードは中空のカーボン&チタン製だがレコードはスチール製・・・とか)

あと、(ほぼ誰も気づけないだろうが)スーパーレコードのリアディレイラーのプーリーのベアリングはCULTで、レコードはUSBらしい。

グループセットの重量

スーパーレコード(SUPER RECORD)

  • リムブレーキモデル:2,041g
  • ディスクブレーキモデルが2,323g

レコード(RECORD)

  • リムブレーキモデル:2,213g
  • ディスクブレーキモデルが2,453g


気になる価格は?

現時点でカンパニョーロから発表されているのは以下の通り。

  • スーパーレコード(ディスクブレーキ仕様):3,600 米ドル
  • スーパーレコード(リムブレーキ仕様):3,200米ドル
  • レコード(ディスクブレーキ仕様):2,750米ドル
  • レコード(リムブレーキ仕様):2,175米ドル

1ドル=107円で円換算するとこんなかんじ。

  • スーパーレコード(ディスクブレーキ仕様):385,200円
  • スーパーレコード(リムブレーキ仕様):342,400円
  • レコード(ディスクブレーキ仕様):294,250円
  • レコード(リムブレーキ仕様):232,725円

んー、レコードのリムブレーキ仕様ならデュラエース(R9100)よりちょい高い価格に落ち着くのだろうか…。だとしたら、死ぬ気でがんばればなんとかなるかも知れない。まあ、 オクサマを説得できればの話ではあるが…。 (まあ、ほぼ間違いなく自分には縁のないコンポーネント)

12速化専用カンパニョーロ特設サイト

特設サイトの情報が参考になる。ただし、強烈にリッチコンテンツなせいか、ものすごく重い。サイトが表示されるまで1分くらいかかった。


ちなみに、Wiggle ではすでにCampagnolo - Super Record (スーパーレコード) グループセット (12スピード)Campagnolo - Record (レコード) グループセット (12スピード)は発売されていたりする…。なかなかのお値段なのでおいそれと購入はできないが…。

以上、自分は1ミリも購入予定のない高級コンポーネントではありますが、ご購入を検討できる経済力をお持ちの方々のお役に立てればこれ幸い。
m(_ _)m


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