ママチャリにしか乗ったことのない人にとって、自転車は「屋外駐輪&乗りっぱなし」がデフォだと思う。錆びて乾き切ったチェーンをキーコキーコ鳴らしながら走る人は珍しくない。ヘタをすると、タイヤの空気がかなり抜けた状態の人もいたりして、側から見てて「空気を入れてあげたいっ…」って思うこともしばしば。

ロードなどのスポーツバイクはデリケートな乗り物なので、日常的なメンテナンスが欠かせない。

GCNで「7 Ways You're Ruining Your Road Bike | Bicycle Maintenance Mistakes To Avoid(ロードの劣化を早めてしまう7つのミスとその回避方法)」という動画があったので、個人的心掛けも2個加えて、合計9個を紹介したい。



目次


洗車しない

もっとも多いのがこれだろう。車でも靴でも汚れたままでは劣化を早めてしまうように、自転車も同じ。ただ、自転車は細かなパーツの集合体なので指の届かない場所があったり、汚れているのかそうでもないのかの判断がつかなかったりもする。

さらに初心者だと、どの部分をどんなケミカルで何を使って洗車すればいいか分かりにくいってのもあって敬遠されるんだと思う。

ムック本で学ぶのもいいけど、ハウツー系は動画のほうが理解しやすくてオススメ。YouTubeで検索すればいくらでも見つかる。


※これは娘の動画だが、ウェブにはもっと詳細で良質な動画はいっぱいあるw

洗車しすぎる

上記の逆で、心配症とか潔癖症な人だと「ちょっとの汚れも見逃さぬ!根こそぎ洗い落としてやる!」とばかり洗車しまくってしまうことも。水をじゃぶじゃぶぶっかけたり、高圧ホースで吹き付けまくるような洗車はプロロードレースのメカニックはやっているが、彼らは知識があってやっているので、ただ真似てしまうと大切なルブを落としてしまうことになりかねない。

やらなくてもダメ、やりすぎてもダメ…となかなか塩梅が難しい。


個人的な目安で言うと、

チェーン

乗るたびに乾拭きする。月に1〜2回……200キロ毎くらいでルブを挿す(同時にプーリー、前後のメカも軽く拭いて黒いカスを取り除く)

フレーム

バイクの下から覗きこみ、「BBとダウンチューブが汚れていたらフレーム洗浄のサイン」としている 
※2ヶ月に1回程度(路面が濡れてる日に走ったら帰宅後すぐに洗車)

ホイール

フレーム洗車と同時にやる(リムの汚れを重点的に。ブレーキシュー表面も拭く)

クランクとカセット

フレーム洗車と同時にやる

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間違ったルブを使う

自転車のチェーンルブは用途にわけて大きく「ドライ」と「ウェット」があり、コンディションで使い分けるとよい。ドライはさらさらしていてホコリが付きにくく、いわゆるスタンダードなルブである。何を買うか迷ったら最初はドライでOK。ただ、その名の通り揮発性が高めなのでこまめに挿してあげたほうが良い。目安は…200キロ前後でしょうか。

ウェットは雨天とかシクロクロスで使われることが多い。粘度が高めでドロっとした感触。ドライのメリット&デメリットをそのまま逆にしたような特性を持つ。

イノテック(innotech)の105は効果絶大だが、すべてのサイクリストに無条件ではオススメしない理由【使い方や注意点も解説】
※最近はイノテックの105を愛用中


間違った使い方をしても、べつにチェーンに致命傷は与えないのでさほど心配は無用だけど、ウェットコンディションでドライルブだとわりとあっという間にルブが流れ落ちてしまい、チェーン(とカセット、チェーンリング)に負荷がかかる。金属同士が擦れあってキコキコ音鳴りするようなら注意。

反対にドライコンディションでウェットルブを使うと、路面のホコリ、砂利、砂を一気に引き寄せてしまう。異物が挟まると当然劣化は早まる。長持ちするからって理由でウェットを多用するのは避けておこう。

天気の良い日しか走らないってスタイルの大半のローディはドライルブで十分かなと。パッケージをパッとみただけでは見分けがつかない事もあるので、よーく読んでからご購入ください。

1台のバイクしか乗らない

靴と同じで、一足を履き続けると劣化は早い。交互に履いて休ませる方が長持ちする。濡れた道を走らなくてはならない日もある通勤で乗るなら頑丈で廉価なアルミ、週末の天気の良い日限定で走るならハイエンドカーボン…といった具合。

この考え、複数台買うための都合のいい方便じゃないか?って気もするが、100%否定はしない(笑)。

乗る距離とかスタイルによって使い分けるためにも複数台あると便利で、ハイエンドカーボンしかないとちょっとしたお出かけとか、駅までの利用…というわけにはいかない。自分の使い分けパターンを紹介すると、

◇ 片道30キロまで(のんびりマイペース) →ダホンのEEZZ D3
※オクサマとのサイクリング、駅までの足として、高速バスでの輪行に

◇ 片道40~50キロまで(そこそこペース) →タイレルのCSI
※オクサマとのサイクリング、ロードが入院中の足として

◇ 片道50キロ以上(自分のペース) →パナソニックのFRCC22
※ソロで気ままにロングライド、仲間とのライド、輪行での遠征に

3台あれば大抵の人のニーズには応えられるような気はする。自分はミニベロ2台、ロード1台だが、ロード3台(アルミ、カーボン、クロモリ)って人もいるし、ミニベロ3台って人もいる。ここは人それぞれ。

穴ぼこに平気で入ってしまう

穴や段差の衝撃はフレームとタイヤに優しくないのでなるべく避ける。どかっと体重を乗せたままだと衝撃がモロに伝わるので、体重を抜き、手足をサスペンションのようにしてフレームへの負荷をかからないようにしたい。

段差に乗り上げる瞬間は、ハンドルをちょっと持ち上げてフロントタイヤをほんの数センチ浮かせる。それだけでかなり変わる。

大きめの障害物や穴はバニーホップで飛び越えるって方法もあるが、「着地のショックでDi2の変速の調子が崩れることがある」という声を聞いたことがあり、自分は自重している。

あと、グレーチングを溝に沿って通過するのもやめておいたほうがいい。23cとかの細いタイヤだとハマることがあるし、サイドカットパンクをして復帰できなくなったり、前輪がズルっと滑って落車って事例もある。

経年劣化を無視する

自転車のあらゆるパーツは消耗品なのでいつか交換時期がやってくる。無視していると深刻なダメージに繋がることもある。バーテープが剥がれるくらいなら可愛いものだが、伸びたチェーンはカセットとクランクに悪影響だし、乗り方にもよるがタイヤは4000〜5000キロでオシャカになる。(クリンチャーだと)中のチューブも交換対象。タイヤを変えるタイミングで新調したほうが良い。

ワイヤー類もいつかダメになる。ブレーキワイヤーは頑丈なので2〜3年持ってしまうこともあるが、細いシフトワイヤーはもっと早く劣化する。見た目で交換時期を判断できないって人は、半年に1回くらいの頻度でショップで診てもらうのが早期発見のコツ。

恥ずかしながら、タイレルのCSI を「デュラエースで組んでいるし…」という謎の理由でオーバーホールせずにいたら、2019年末にリアのシフトワイヤーが断裂しかけて11速のうち8段しか動かないって状態になってしまっていた。頻繁に動かすリア側は劣化も早い。

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※ブラケットカバーを時々めくって確認しよう

ちなみに、CSIで山に行くことはなく、平坦な埼玉県内でしか乗らないのでフロントはほぼ変速しないため、フロントのワイヤーは全然問題なかった。乗り方によっては左右で交換時期が変わる…こともある。

屋外で保管する

ロード乗りでこれをする人は稀だと思うが、住宅環境によってはせざるを得ない人もいるだろう。キャンプや音楽など、多趣味で荷物が多いワンルーム住まいの人だと「泣く泣く自転車はベランダに置く」こともある。そういう場合はせめてカバーをかけ、風通しの良い場所に置き、直射日光や湿気から守ってあげたい。


以上がGlobal Cycling Networkの動画で紹介していた注意点。

もう2つ、自分の経験をもとに追加してみる。

汗対策をしない

三本(&固定)ローラーでトレーニングする人は汗がヘッドやフレームに滴らないように注意してほしい。冷え切った真冬の部屋だろうが、クーラーを効かせた夏だろうが、ローラーは大量の汗をかく。頭はちょうどヘッド近くにあるので、汗をそのまま下に垂らすとヘッドにかかる。

塩分を含んだ汗を舐めてはいけない。見事に錆びさせてしまうし、中まで浸透していくとグリスを汚してドロドロにさせる。自分はこれをやらかしたことがあり、ヘッドユニットを丸々交換したことがあった。

タオルを被せるか、完璧を期すなら小さめのビニール袋をヘッドに載せて輪ゴムで留めるのが良いだろう。自分はローラーを回すときはこの対策をしている。

ヘッドはともかく、フレームなら表面を拭けばいいから心配ないじゃん?って思うかもだが、ボトルケージのネジの穴を腐食させることがあるのだ…。目の届きにくい部分なので見落としがちだけど。

チェーンをたすき掛けにしてしまう

ロード乗りの人にはお馴染みだが、初心者は考えが及ばない部分。後ろから見てチェーンが斜めになった状態で走るのはあまり好ましくない。フロントがインナーギアでリアがトップギアが「インナートップ」、フロントがアウターギアでリアがローギアだと「アウターロー」と呼ぶ。この状態だと伸びやすいし、横方向にも負荷がかかってしまう。

たすき掛けで走らざるを得ない状況ってあまりなく、こまめに変速すればストレートに近い状態は保てる。ただ、細かく変速するって発想がロード初心者はないことが多く、延々と同じギアで走り続けている人もいる。体力に最適化されたギアで走れるのがロードのメリットなわけで、せっかく20〜22段もあるのだから積極的に動かそう。だからこそロードコンポは変速しやすい仕組みになっている。

ギアの変速性能に大金かけるってなんなの…?って思うかもだけど、めっちゃ頻繁に変速しまくるからこそ、快適な操作感を求めて上位グレードとか電動化をしたくなるわけなのだ。シフターの操作が気持ち良いと自然と変速するようになるし、変速するようになると疲れにくくなり、疲れにくいと楽に遠くまで行けて楽しさが増す…。チェーンをたすき掛けにしてしまう遠因は、ちょっとした変速のストレスにもあるのかもしれない。そういう意味で、初心者の人とか女性がいきなり上位コンポを使うのは理にかなっていると思う。


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