自転車は紳士(&淑女)のスポーツなので、マナーというか、「こうしたほうがいいよね」的な振る舞いがある。もちろん、なんの強制力もないけど、さりげなく、当たり前にやっている人を見ると「さすがダナー」と思う。

Global Cycling Network で「サイクリストが持つべき5つのよい習慣(5 Good Habits Every Road Cyclist Should Have)」という動画が紹介されていたので翻訳しつつ、そこに「自分なりの心がけ」を添えてみたい。



目次


ゴミをポイ捨てしない

サイクリスト云々以前の”人として”の常識。が、Global Cycling Network がわざわざそんな基本的な啓蒙をしなくてはならないほど、やってしまう人は一定数は存在するのかもしれない。(悲しいことだ)

プロサイクリストがレース中に空のボトルを投げ捨てたり、補給食のパッケージを捨てるシーンはあるけど、あれはクローズドかつ主催者がいるレースだから許されることであって、一般の我々は当てはまらない。

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プロでも公道でポイ捨てしている人はいるし、目撃したことはあるけど、それをマネる必要はないよ。

余談だが、プロレースでさえ「ポイ捨てが許されるゾーン&そうでないゾーン」が決められており、それ以外の場所で捨てることは禁止なのだそう。たしかに所構わず捨てられたら、掃除するほうも大変だし、理解できる話ではある。

なので補給食等のパッケージはバックポケットに入れておきましょう。ひとつアドバイスすると、洗濯機に入れる前にジャージポケット内のゴミを捨てること。つい忘れがちになるが、さもないと…洗濯後に悲鳴をあげることに(笑)。

初心者サイクリストを助ける

球技(サッカー、バスケ)等のスポーツだと、ある程度スキルのレベルが均等された者同士で楽しむことが多いが、自転車はけっこう幅が広くって、あらゆるレベル&経験値の者同士がいっしょに走ることも多い。

だからこそ、経験者は初心者を助けてあげたいものだ。ただのサイクリングであれば普段着で自転車にのればいいけど、ある程度の強度と距離を伴う本格的なサイクリングになると、「何を着れば(食べれば、飲めば)いいのかわからない」状態になる。

世界が限定されるマイナースポーツは、わからないことを解消する手段と情報源が少なすぎる。テレビでスポーツ自転車が話題になることはなかなかないし、雑誌や書籍もピンポイントで疑問解消してくれない(そういうハイレベルな話じゃなくて、そもそもわかってない基本的なことが多すぎるんだよなぁ…)って困るのもあるあるではないかなと。自分がサイクルガジェットを始めたキッカケがまさにそれでして、 自分と同じ思いをして困っている人のお役に立ちたいと思ってブログを作った経緯がある。

同じ趣味の人が周囲にいないと、アドバイスも求められず、我流で悶々とすることもあるだろう。なので、経験者は初心者を積極的にサポートしてあげよう。走り方、メンテナンス知識、交通ルール(意外に知らない人も多い!)、快適な服装、飲食物、バッグの種類、パーツの選び方、コースの設定方法・・・未経験者にはすべてがナゾで、知らないがためにハマれないのは残念なことである。

自分も初心者のころはパンクの修理もできなかったし、何を着ていいかわからなかったし、どこを走ればいいかも検討がつかなかったし、パーツの名称もグレードもチンプンカンプン。 経験者にかなり助けてもらったおかげで、急速に成長できた実感がある。持つべきものは仲間であり、友である。

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経験者という意味で最高の師匠となりえるのが「「ショップのメカニックさん」。気軽にお店に行っておしゃべりできる関係ができていると、いろんな疑問に答えてもらえる。彼らの経験値はハンパないわけで、学びの宝庫だ。

想像もつかないような素敵なHack とか、業界関係者でないと知りえないこととかを教えてもらえるので、むしろ積極的に仲良くなっておきたい。

「自転車メカニックはホームドクターと同じ」

である。
それくらい重要な存在。

あと、経験者を見つけたら積極的に質問攻めにしていいと思う。たいていのサイクリストの方々はとても親切で、初心者にすごく優しい。高飛車な態度を取る人もいるのかもしれないけど、自分はほぼ見かけない。経験者だって、内心教えたくってウズウズしている(笑)部分もあるのだから、素直に「よくわからないんですけど…」って絡んでいくのがちょうどいいくらいだと思う。

あいさつをする

これはマナーの範疇だけど、すれ違い様に挨拶をする(される)のは気持ちのいいものだ。登山してて、登る人と下る人がすれ違う瞬間に「こんにちはー」って交わすじゃないですか。アレ、すごくいい気分になりません?(自分は登山はめったにしないけどあの瞬間は好き)

日常生活、街中で赤の他人にすれ違いざまに挨拶するなんて、まずありえないし、したら「なんか変な人だ…」って警戒されかねないけど、不思議と山では元気よく挨拶しあえてしまう。

あれのサイクリング版は「会釈」。外人さんだと「Hi !」ってやりあうっぽいが、日本人の気質からして頭をペコっとするくらいがちょうどいい塩梅に感じる。

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手を振るのもマナー的には素晴らしいと思うが、片手運転になるわけで安全がやや犠牲になる気がする。こっちが手を振ることで相手に同じことを強いるのは危険と判断して、自分はやらない。(よって会釈のみ)

もちろん、なかには挨拶(会釈)を返さない人もいるけど、気にしなくてもいい。無視したわけではなく、単純に気が付かなかったか、一生懸命に漕いでいて眼中になかっただけだろうから。

あと、挨拶はすれ違いざまだけでなく、追い越す瞬間にやったってよい。抜かれる側は声をかけられることで「あ、自分の後ろに人がいるんだな」ってわかるので、安全運転の意味でもナイスな心がけになる。

自分はヒルクライム中に人を抜くときは、「こんにちは」とか「暑いですね」と声をかけるようにするし、声をかけられるとうれしい気持ちになる。挨拶して失うものはゼロ。良いことしかないので積極的に行いたい。

自転車の修理をできるようになる

あらゆるトラブルを修理できるメカニックレベルになる必要はない。それに、でかけた先ではツールがないがために「手の施しようがなくなる」こともある。たとえばベアリングをフレームに押し込むとか、ボトムブラケットを取り外す…のは不可能。

ただ、ある程度のメンテナンスは自力でできたほうがいい。その典型が「パンク修理」。インナーチューブやタイヤレバー等の予備と器具をサドルバッグ等に入れて携行するのはもちろん、それを自力で使えないと意味はない。最初の数回は仲間が手伝ってくれるだろうけど、毎回それでは心もとないし、ソロで走っているときに対応できなくなる。最低でも「一人でパンク修理ができる」ようになるのはマスト。

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/不安なら家で練習してみよう\

ちなみにオクサマはパンク修理はおろか、何一つ自分で調整できない。唯一できるのは、「シートポストを自分の高さに調整すること」だけ。それ以外はすべて夫(&ショップ任せ)。で、彼女の悩みが「一人でサイクリングにでかけられない」こと。

ソロで走ってくればいいじゃないと勧めても、「でも出先でなにかあったらお手上げだし…」と出かけようとしない。パンク修理が出来ないがためにサイクリングそのものが楽しめないのは残念すぎる。オクサマを反面教師にしていただきたい。

パンク修理はショップで講習会をしていたりするのでそれに参加してもいいし、やってなくてもメカニックさんに教えを請えばよい。あるいはそれこそ経験者にコツを教えてもらおう。

パンク修理ってハードル高い気がするけど、2回もやれば「なんだ、こういうことなのね。もっと難しいって思ってたけど、取越苦労だったわ」って拍子抜けするはずだ。

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余談だが、個人的に好きなシーンは、グループライドで誰かがパンクすると、仲間がわっと駆け寄ってF1のピットクルーよろしく

「俺、フレーム持ってるよ」
「チューブ出しといたよ」
「ポンプも準備しといた」

って感じで助け、パンクした本人はタイヤ脱着のみに集中できるようにしてあげる。一人で交換するより2倍速いし、一体感が生まれてなんかいい空気になる。

先頭走者は危険物(障害物)を後続に伝える

ロードバイクの細いタイヤだと、ただの空き缶や石も落車の原因になる。

これはグループライドのときのみ当てはまることなのだが、路上で発見した危険物(石、砂利、木の枝、路面のクラック、穴ぼこ、突起物、空き缶など)を先頭走者は後続に伝える義務がある。なぜなら、後続は見えていないから。

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伝達方法はシンプルで、声で伝えてもいいし、指先で示してもいい。前走者が前に向かって声を出しても後続には聞こえにくいこともあるので、個人的には「指先で示す」ほうを多用している。注意をうながす&避けさせることが主目的なわけで、指先で示すモノがなんであるかいちいち言わなくても構わないと思っているのが「その理由。

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このマナー、初心者はなかなか気づかないもの(そこまで想像が及ばない)なので、経験者がそっと「こうするといいよ」、「より安全に皆が楽しめるよ」と伝えてあげたい。


以上が「サイクリストが持つべき5つのよい習慣(5 Good Habits Every Road Cyclist Should Have)」で紹介されていた内容の翻訳紹介である。

それ以外にも自分が心がけていることがあるので、3つほど紹介したい。

他のサイクリストを追い越した直後に、「前に入らせてもらいます」のハンドサイン

山でも平坦路でもよいのだが、後ろから追い抜きざまに横に移動して前に入る場合、左手で「入らせてもらいますね」とハンドサインを出すよう心がけている。

抜かれた側は、「横にスライドしたいんだな」ってわかる。些細なことだけど、ライダー同士の意思疎通ができると安心感がちがう。交通量の多い道路だとけっこう有効。これをしないとものすごく危険ってことはないのだけど、お互い気持ちは良いものだ。

オートバイや車への感謝の挨拶

挨拶するのは同類(ローディ)同士のみって決まりはない。オートバイが気を利かせてスピードを落としてくれたり、対向車線の右折待ちの車がこっちの集団を待ってくれたりしたら、軽く手を振って感謝の意を伝えたい。

バスの親切心を利用しない

どういうことかというと、バスの最前席に乗っているとよくわかるのだが、運転手さんは路上の自転車を「怖がらせないよう、接触しないよう」十分にマージンを取ろうと気を遣っている。それを逆手にとってデタラメ&無茶な運転をするのは慎みたい。

停留場で一時停止中のバスと歩道の間を通過するのは御法度。バスを下車する人と接触するのではといつもハラハラさせられる(平気でこれをするママチャリは少なくない…)。

停留場のバスを追い越しい場合、後続を確認しつつ右側から追い越すように自分はしている。(右ウインカーを出していればスピードダウンして先に行かせる)


以上、合計8つのサイクリスト向け良い習慣のご紹介でした。
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