自転車にまっったく興味のなかった女性が、自転車大好き人間に変身するのにかかる時間は、たぶん男性のそれよりはるかに長い。

男性はわりと単細胞で、基本的にメカメカしいガジェットに目がない生き物であるのに対し、女性はもっと複雑。

2010年にオクサマ用にミニベロ(ボードウォーク)を購入して早6年が過ぎたが、自転車が大好きになるまでには、かなりの時間がかかった。

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彼女の熱量の変化を時系列で書くとこんな感じ。

2010年:旦那がうるさいから付き合ってやるか…あんまし興味ないけど

2011年:暖かい季節限定(秋と春)で、気が向いたらたまに乗るか 

2012年:同上

2013年:同上

2014年:同上

2015年:同上

2016年夏:カスタマイズしたら俄然やる気が増し、「もっと走りたい。色んな場所に出かけたい」とわめき出す

2016年秋:オクサマ用に冬用サイクリングウェアを購入する

2017年:今ココ

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2015年まではミニベロへの愛着も薄く、付き合いで乗る程度だった。それが、ブルホーンハンドルにしたり、軽量ホイールを導入したり、フィッティングを最適化したら自転車の喜びに目覚めた。(乗りやすいバイクは、それだけでモチベーションを上げてくれる)

そんなわけで、2017年からは冬も走る決意を固め、そのためのウェアも買い込んだ。沖縄出身のオクサマは、冬のアクティビティが大嫌いなのだが、果たして冬サイクリングを挫折せずに楽しめるのだろうか・・・。
※新婚時代に岐阜の御嶽山にスキーにつれていったら、「雪の中で転げ回って何が楽しいの!?寒いし!二度と行かん!!!」って泣きわめいた過去がある。その後、二度とスキーに行ったことはない。

というわけで、ウェアのインプレッションも兼ねて、物見山&シロクマパンライド(往復85キロ)に行ってきました。オクサマのコメント付きでレビューいたします。

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当日のコンディション&ルート

・快晴(風は冬にしては弱め)
・気温は5度~8度間
・秋ヶ瀬公園~物見山~シロクマパン(越生)~川越~秋ヶ瀬公園

アウタージャケットとインナーの性能にビビる

実際に走り出すまでは、オクサマは薄手の冬用ジャケットを信用できなかったようで、「こんな薄いので大丈夫なの!?本当に寒くない?凍え死んだりしない?」と何度も確認してきた。

大丈夫だから!ウェアメーカーさんを信用しなさい!」と説き伏せて、秋ヶ瀬公園から出発。身体があたたまるまでの最初の15分は「ちょっとひんやりする」と言っていたが、じきに「あら、意外に寒さが気にならないね」と安心したようだった。

「こんな薄手なのに…なんでや…なんで暖かいんや…」と、気温5度でも走れることを驚いていたオクサマは、ジャケットだけでなく、インナーの性能にも感心していた。30分も走り続けていると、冬とはいえ汗をかき始める。

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冬のライドで気をつけなければならないのが、汗をかきすぎないこと。汗は一度かいてしまうと、なかなか乾かない。サイクリングに特化していないインナーだと、塗れたまま乾かず、逆に冷えてしまうことになる。

まったく汗をかかずに走るのは不可能なので、多少は塗れてしまうんだけど、サイクリング用のインナーは乾きやすい。(ジッパーをおろすなど)適度にベンチレーションさせて通気性を確保すれば、走っている間に乾いていってくれる。これにもオクサマは驚いて、「外も中も快適だ!」と喜んでいた。

しかし…予想外の現象が起きる。


下着の濡れまでは予想できなかった

アウタージャケットはしっかり冷気をシャットアウトし、インナーも汗の乾きが早いからベタつかない。いたって快適な冬ツーリングを楽しめていたのだが、1時間を過ぎた頃から、「なんか、身体が冷たい…」と顔をしかめ始めた。なんだ、何が起きた?

オクサマによれば、下着(※ブラ)が塗れて、それがインナーを濡らし、結果的に身体が冷える…ということだ。男の自分にはよくわからないのだが、そういうものらしい。

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「スポーツブラを使えばいいのでは?よく知らんけど」

スポーツ用のってべつに速乾性はない。塗れたら塗れたまま。だからサイクリングには向いていない。そのことに今気づいた

「そうなんだ…」

他の女性ってどうしているんだろう

「さあ…?」

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ということで、オクサマは下着の濡れにだけ我慢して走らねばならなかった。とはいえ、凍えるほどではなかったそうで、サイクリングを楽しむことはできたそうだ。

個人的な意見だけど、埼玉とか南関東の真冬であれば、「5度対応のウェア」で充分。「零度対応」は使う機会が少ないし、気温を読み間違えると汗をかきまくるので、扱いにくい。(アウターは脱いだら荷物になるだけ)

5度対応のアウターを自分は4シーズンほど使っているけど、不満を感じたことはほぼない。気温が0度に近い、厳冬期の夜ライドは5度対応では「歯が立たない…」けれど、その場合はウインドブレーカーを重ね着することで紛らわせることが可能。

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ということで、もしかするとオクサマ用にウィンドブレーカーを買ってあげなければならなくなるかもしれない。

余談だが、Raphaのクラシックソフトシェルジャケットは両脇にベンチレーション用ジッパーが設けられており、開け閉めすることで脇の熱気を放出できる。以前、Raphaさんに試用させてもらったとき、その快適性に驚愕した。脇の熱って、胸のジッパーを開けるだけではぜんぜん逃げてくれないのよね。

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※ここが開くと、温度調節がすごくやりやすい!

この機能、他のウェアメーカーもマネてくれればいいのに・・・。 個人的に、もっともほしい冬用アウターはRaphaである。(お高いので手が出ないですが)

>> Raphaのクラシックソフトシェルジャケットを内房ツーリングで試してきたよ【前編】

>> Raphaのクラシックソフトシェルジャケットを内房ツーリングで試してきたよ【後編】

冬用タイツ&足首&つま先の寒さ

アウター同様、下半身の冬用タイツもまったく問題なし。ホカホカとは言えないが、凍えることはなく、快適に走れる。この事実にも、オクサマは「なんで1枚の布で、こうも冷気をシャットアウトできるのかしら…」と、ナットクできていないようだった(笑)。

しかし、彼女は足首とつま先の防寒までは気が回らなかったようで、ライドの後半は「露出した足首が寒い。つま先の感覚がない。やばい」と文句を言い始める。

オクサマはシューズカバーの存在も知らないし、そもそもふつうのスニーカー使用なのでカバーを使うのはちょっと違う。フラペで乗る方は、冬はどうされているのだろうか。

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※物見山を登りきったオクサマ

ちなみに、自分はシューズカバーを1年半前に紛失してしまい、昨シーズンは「夏用シューズ×アルミホイル」で乗り切った。アルミホイルをハンカチサイズに切り、つま先に巻きつけてからシューズを履くと、多少ではあるが寒さをしのげる。 「あ、これ使える」と思い、今シーズンもそれで乗り切るつもり。

※紛失したシューズカバー、どっかからひょっこり現れてくれないかしら…さすがに真冬の夜中はアルミホイルだけでは歯がたたないので。

オクサマはアルミホイルだけでは満足してくれないだろうから、何かしら抜本的な対策が必要になりそう。当座は厚手のハイソックスでも履かせるか…。

グローブの感想

オクサマが使っているグローブは、自分と同じROECKL(リッケル)。
※レッケルとも読むらしい。ドイツ製品だからか、発音がわかりにくい(笑)

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※Rosello(ロゼッロ)です

自分のはRosello(ロゼッロ)というモデル。公式サイトを見たら、もう廃版になったらしい。オクサマ用に購入したのは「Rebelva」。ラインナップの中では最強の防寒機能を持つ。

WINDSTOPPERソフトシェルを採用し、グリップ時のゴワつきを感じさせないしなやかな造りである。機能的にはRosello(ロゼッロ)とほぼ同じ。

>> 公式サイトはこちら


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※オクサマのはRebelvaです

下記インプレ記事にも書いたが、ROECKL(リッケル)は素晴らしくって、厳寒の真冬でも暖かい。なのに薄手でごわつかないのでシフト操作も妨げない。サイクリングだけでなく、日常的にも使いたくなる快適さ。
※もったいないので、サイクリングでしか使っていないけど

>> ROECKL(リッケル)の冬用サイクリンググローブが最強に使いやすい


なにしろ、身体や足先は寒くても、ROECKL(リッケル)で守られた指と手のひらだけは寒いって感じたことがない。それくらい優秀。

しかし、重度の冷え性のオクサマは、同じリッケルのグローブなのに、「指が少し冷えるかも」と言う。自分は指先は暖かいのに不思議。RoselloとRebelvaで防寒機能が異なるのかな?と思い、自分のRoselloを試させたが、感想は同じ。

オクサマも、「素材は同じだし、違いは感じられない」と証言していた。

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自分はROECKL(リッケル)で完全に満足してて、これ以上の防寒機能は不要と思っているのだが、オクサマには薄手のインナーグローブを用意してあげてもいいかと思った。

それにしても、同じ環境で同じ性能のグローブを使っても、体感気温はこうも差があるモノなのか・・・ということが最大の発見であった。

サイクリングでの防寒は「末端対策」がキモ

初心者サイクリストは、服には気が回っても、「末端がおろそか…」というケースが多い。中心に近い体幹とか、肩&背中は負荷をかければ体温が上がるし、汗をかく。

でも、体の末端(手足の先、足首、耳、首)はいくら走っても温まらない。つまり、徹頭徹尾、延々と寒く、その状態で数時間走るのはつらい。

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オクサマはつま先がかじかんでしまい、そのせいでペースが落ちた。16時には秋ヶ瀬公園に戻る予定だったのが、荒川走行中に日が暮れてしまい、気温が3度になる。

コワイコワイコワイ!道が見えない!ぜんぜん見えない!」 とビビり始める。ライトはつけていても、そもそも夜間走行をほぼしたことがないせいで、時速10キロくらいでノロノロとしか走れない。そのスピードに付き合って、秋ヶ瀬公園の駐車場に戻ってきたのは17時半。とっくに日は暮れ、あたりは真っ暗。

時間配分を間違えた・・・。が、85キロの無事にサイクリングは終了。

結論、まとめ

  • 末端対策は重要と思い知る
  • 冬用サイクリングウェアの性能に、オクサマ感嘆する
  • 冷え性の人は、そうでない人より寒さを感じやすい
  • 85キロの走行距離は、もはや妻には大したことなかった(ほぼ疲れない)
  • 冬の出発は早めに、16時には帰着しよう
  • シロクマパンはうまい