ロードバイクに乗るまではどうでも良かったのに、ひとたびハマってしまうと気になって仕方のないものに「ペダリング」がある。

大抵の大人は自転車に乗れるので、ペダルをこいで動かすことはできる。なかなか外からは上手い下手が見えにくいが、ペダリング技術はかなり個人差があって、上手い人ほど効率的でムダのない(=楽に長距離走れる)走りができる。

サイクリング系の書籍や雑誌で散々語られ尽くした感のある「ペダリング」ではあるものの、奥が深い世界だと思う。

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/唐見さんのセミナーにて\

つくばで3RUNさん主催のペダリングセミナーに参加して、チーム弱虫ペダルの唐見さんにペダリングのコツを根掘り葉掘り質問しまくり、自分なりに「なるほど、こういうことか」と腑に落ちた。

それ以来、唐見さんの言いつけを守りながら走っているのだが、以前よりも(速くなったわけではないが)同じスピードで楽に巡航できるようになったと感じる。そして、ムダな出力が減ったぶん、疲れがたまりにくい。やっぱ、ペダリングって大事なんだなーと実感している。

そこで、上記セミナーで学んだこや、過去に読んだ書籍等で得たコツを全部ガッチャンコして、自分なりにたどり着いた(現時点)のペダリングのやり方を記録しておこうと思う。

ペダリングのコツ: 12~15時で踏み込む

クランクを時計の針に見立てるとわかりやすい。力を出すのは「12~15時」だけ。それも、筋肉の力だけで踏み込むのではなく、足の重さ(足だけでもけっこうな重量がある)も利用しよう。そうすることで体力を温存できる。極端なことを言うと、足の重みで生じる重力だけで漕げば、ぜんぜん力を使わずに走ることができる。

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15~18時も踏み込む方がより大きなパワーを発揮できそうな気もするが、じつはそんなことはなく、せっかくの頑張りは推進力には変換されず、力の出し損になってしまう。

あと、15時で止めているつもりでも足が実際に踏み込みを止めるのは一瞬遅れての16時。なので、16時で止めようと考えるのではなく、一瞬早めの15時で止めるのがいい塩梅のようだ。

12時から踏み込むって、真下に踏み込めないじゃん」と思うかもだが、足は上下運動ではなく、円を描くように動いている。なので、12~15時の踏み込みは下に向かって踏みつけるのではなく、ハムストリングス(太ももの裏)を伸ばして、やや前方に足を持っていくイメージで。

あと、大腿四頭筋(いわゆる太ももの前の筋肉)ばかり使うと疲労が溜まるので、太ももの前も後ろも両方動員しよう。

実際、平坦路の巡航時はほぼ力を使わなくても、クルクル回転させているだけでロードバイクは進んでくれる。

ペダリングのコツ: 16~18時は惰性で回すのみ

16時以降は踏み込まず、惰性で回す。ここで踏んでも意味はなく、力の出し損だ。初心者サイクリストに多いのが、12時から18時まで180度グイグイ押し込むように登るスタイル。百害あって一利なしなので、力を発揮するのは15時(実際は16時)までにしておこう。

ただし、ヒルクライムでは15時で止めるだけでは登りきれない斜度もある。ついつい18時まで踏み込む方がよいような気がするかもしれまないけど、せいぜい16時で止めるイメージで。

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ペダリングのコツ: 18~23時は引き脚を意識しない

ここは諸説あって、人によって意見が食い違うところ。引き足を使ったほうがいいって人もいれば、引き脚はあまり意識しなくていいって人もいる。

自分は後者の考えで、18〜21時は足の重量がペダルに乗らない(逆足の踏み込みの邪魔をしない)程度に軽く意識するのみ。よいしょと引き上げるのではなく、ペダルにドッカと乗らない程度に浮かすだけで充分。

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「足裏に付いた泥をこそげ落とすイメージで引く※」という表現を聞くが、自分はそれすら意識しない。ただし、アンクリング(かかとをつま先より落としてしまう漕ぎ方)にならないようにだけ注意している。
※ちなみにこの言葉はグレッグ・レモンによるものらしい

なお、ほんの少し意識するこの引き脚だが、真上に上げようとすると円運動の妨げになるので、21〜0時はかかとをハンドルに近づける意識で回してみよう。すると、ちょうどいい動きをトレースことができる。

ペダリングのコツ: 23~0時で次のダウンストロークの準備

12時から再び力を加えられるよう、準備するポイント。23時から意識すれば、力は0時から発揮される。ケイデンスを上げていくとわかるが、0時から踏もうと考えても、タイムラグのせいで実際は13時になってしまうものなのです。


要約すると、

  1. 23時から踏み込みを意識し始め
  2. 0〜15時で踏み込み
  3. 16時以降は力を抜き
  4. 18時以降は、逆足のペダリングの邪魔にならないように脚の重量を抜く

となる。

まあ、しょせんホビーサイクリストの独学なんで、本格的にやっている人には遠く及ばないとは思う。それでも、これを意識するだけで何が違うって、とにかく「疲れにくい」に尽きる。自分が一番実感してるのがこれ。

ペダリングが上手くなっているかどうかを自力で判断する手っ取り早くて確実な方法は、「ロングライドに出かけて疲労度を確認する」だ。最初のうちは、「100キロ走るともうヘトヘト…」なのが、「まだ余裕あるな…」にかわり、やがて「100キロではやや物足りない」となる。

もちろん、ペダリング以外にも「単純に体力がついた」とか、「脂肪が落ちて体が軽くなった」ってことも要因にはなりえるので、一概には言えないのだが、ひとつの目安にはなると思う。

逆に、他のスポーツを元々やっててフィットネスレベルが高いにも関わらず、自転車だと疲れやすい(&距離が伸びない)のであれば、それは非効率なペダリングがブレーキとなっている可能性が高い。

おまけ: Rotor社の楕円リングだと、真円とは異なるペダリングを意識しているの?

ダイアテックさんにご提供いただいたRotorの楕円リングを使ってもうすぐ3年になるが、ペダリングは真円と同じように回している。楕円形状がさほど激しくないので、ぜんぜん気にならないし、「楕円リングに乗ってる」ことすら普段は忘れているくらい。 

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なので、「楕円だからことさらこうすべし」ってことはない。あくまで元々のペダリングをしやすくする(&効率化のヘルプとなる)ためのものであり、楕円リングに身体を合わせていくものではない…というのが自分の理解。

>> ROTORの楕円リング、「Q-RINGS」を継続インプレッションさせていただいています


…とまあ、偉そうなことを書いたけど、自分がちゃんとできているかどうかはわからない。一度、パワーメーターで科学的に分析してもらいたいと思っているので、機会があれば有償セミナーとかに参加してみようと思う。講師の方に「あんたのペダリング、ぜんぜんダメだよ」って一刀両断される可能性もなきにしもあらずなので(笑)。


最後に、自転車のテクニックやポジショニングに関して自分が全力でお伝えしたい言葉はひとつで、「プロからのダメ出しは早いうちにされたほうがいい!」である。

5年も10年も乗ってからあれこれ指摘されて、「マジで!?今までの苦労はなんだったのか…」ってなるのは大いなる人生のムダですからね。


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