2016年7月号のJAF Mate に「駐車車両に衝突するバイク」という記事があった。

夜間、オートバイが路駐車に衝突して運転手がお亡くなりになったときの原因を分析し、ドライバーにはなるべく路駐しないよう呼びかけを、ライダーには前方不注意にならないよう注意喚起する記事だった。

自転車乗りとしても、勉強になる内容だったので、記事を紹介しつつとるべき対策を考えてみたい。

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事故現場は愛知県の春日井市にある片側一車線の県道。600ccの大型バイクが、路駐していたワンボックスカーに激突した。しかもノーブレーキで。 現場は直線なので、警察も「見通しの良い直線道路でヘッドライトをつけたオートバイが路駐していた白いワンボックスカーを見落とすとは考えにくい。

断定はできないが、脇見運転か漫然運転によるライダーの前方不注視が事故の大きな原因であろう」とコメントしていた。

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警視庁の「交通事故死亡率の数値発表」によると、2015年は自動車にくらべて自動二輪車は4倍、原付は2倍超になっている。自転車と同じ、身体がむき出しの状態でしかも車並みのスピードで走るわけで、オートバイ事故の死亡率が群を抜いて高いことは容易に想像できる。

記事内で、元プロのオートバイレーサーで大阪国際大学人間健康科学科の山口直範准教授はライダーの誤解とバイクの特性が事故原因になっていると分析している。 山口氏いわく、
道路交通法には、原付を含めバイクが、常に道路の左端を走らなければならないとは書かれていないのですが、誤解されているのかずっと左端を走っているライダーが少なくない。
なんと!オートバイは自転車のように、道路の左端を走らなくてもOKらしい。知らなかった。たしかに、オートバイは「車が右から抜きやすいよう」と配慮して左端を走っている方が大半な気がする。とくにスピードの遅い原付はその傾向が強い。

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その結果、道路の左に寄せて路上駐車する車両に衝突するリスクが高まるのは当然のこと。
自転車はそもそも左端を走らなければならない乗り物なので、路上駐車や一時停車のタクシーに注意せねばならない。オートバイと同様のリスクがある。

バイクは、実は小回りが利かない乗り物なのです。自動車のようにハンドルを切ったら曲がるというものではなく、バイクの場合は、まず車体を曲がる方向に倒しこみ、それから二次的に旋回が始まります。つまり、バイクとは、衝突の危機などを一瞬の判断で回避するのは非常に難しい乗り物でもあるわけです。
バイクに乗らない人も、これは想像できるのではないだろうか。バランスの取りにくい二輪の乗り物は、車のように一気にハンドルを切ることができない。

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ミニベロは小回りが利く乗り物だ」とはよく言われるが、それはあくまで低速度でチョロチョロ旋回するのが得意なだけで、巡航中の障害物を回避するにはロードバイク同様に体重移動とバイク操作が欠かせない。急ハンドルを切ろうものなら、ふつうに転ぶ(スピードによっては吹っ飛ぶ、と表現した方がいい)。

小回りが利かないバイクでは、目線を先へ先へと送ることが必須であり、上手なライダーはみな、前走車の位置やウインカーをチェックするなど、常に先を読みながら走っている。
スピード領域はオートバイより低速だけど、ロードバイクもかなりのスピードが出るので、常に己の360度に注意を配りつつ、予測を立てながら運転する意識は必要。

とくに、自分は前走車のウインカーを(巻き込みを食らわないために)見落とさないようにしている。さらに、ウインカーを見るだけでは不十分で、ドライバーの動作も観察する。

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あ、オレの存在に気づいてないっぽい」と察知したら、速やかに減速して先に曲がらせる。仮にバックミラーでこちらを認識しているのがわかっても、左折しようとしている車を無理に直進して追い越す必要もないので、やはり一時停止して先に行っていただく。

さすがにウインカーを出さずに左折する車はめったにお目にかからないが、「ウインカー無しで車線変更する車」は少なくない。よって、ウインカーだけを信じてはダメ。 とまあ、こんな感じで車道をロードバイクで走るときはけっこう神経を使うものなのです。

バイクのヘッドライトは横方向の照射範囲が狭く、さらに原付の場合は、ライトそのものは暗い。
なんですって…。てっきりオートバイのライトは車並みに明るいのだと信じていたけど、数が1個だからというせいもあるのだろうか、車ほどの照射力を期待してはいけないらしい。 ということは、自転車側のこちらもオートバイ(と車)に見落とされないよう対策は打っておくべき。

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自分は前後にライトを装着するのを欠かさない。陽の落ちやすい冬場はもちろん、夏場であってもライトは装着しておくクセがある。起伏のある土地へのロングライドでは、かなりの確率でトンネルに遭遇するからだ。 秩父とか、ふつーにトンネルが連続することもあり、しかも一つ一つが長くて暗い!ライト無しでは恐ろしくて足を踏み入れることすら躊躇するレベル。

ちなみに使っているのは「オウルアイのハイラックス30」(フロント)と「BikeGuy」(リア)。この組み合わせでもう丸3年使い続けている。ハイラックス30はUSBの充電式なので、いつでもどこでも充電できるのがマル。

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※コンパクトなのに明るいです

以前は単四電池交換タイプを使っていたが、コスパが悪すぎるので切り替えた。 リアフラッシャーの 「BikeGuy」 もお気に入り。小型なのにかなり明るく、複数の照射パターンがあって目立つ。シートポストにつけるもよし、サドルバッグに装着するもよし、である。

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※これも、小さいのに照射力は十分あって、夜道で目立ちます

バイクや車からの視認性という意味では、リアフラッシャーはマストアイテム。夜中に車道を走る場合、フロントライトだけでは「ドライバーに見落とされるのではないか」という恐怖に襲われる。リアフラッシャーの電池が切れているだけで「乗るのはやめよう」って判断するくらい。

なので、リアフラッシャーはいつでも電池交換できるタイプ(ボタン電池)を愛用している。これであれば、仮に走行中に電池が切れてもコンビニや100均で予備を仕入れることができる。 とはいえ、これまで一度も電池が途中で切れたことはない。ふつうに使っていても1年~1年半は持つのだ。

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あと、「ちょっと照射パワーが弱まっているかな?」と不安を感じた時点で電池交換する習慣にしている(ペースで言うと1年越えたあたり)。ギリギリまで使い切るのではなく、安全マージンをとって早め早めに交換したほうが精神衛生上よろしい。

以上、皆様もこのような事故を他人事だと思わず、「見られる対策」を打ちつつ、安全運転をお心がけいただきたい。