Speed Wobble」 という単語を、Global Cycling Network を観ていて初めて知った。Wobble とは「グラグラする」という意味で、ロードバイクで高速スピードを出しているときに、バイクがグラグラ、ガタガタと震えだし、コントロールが効かなくなることを指す。

Wobble = ぐらぐらする、よろよろ歩く、動揺する、ぐらつく、震える

自分はこれまで一度もSpeed Wobble の経験がない。皆さまはいかがだろうか。

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Global Cycling Network のプレゼンターの皆さんも「聞いたことはあるが、Speed Wobble を体験したことはないんだよね」とコメントしている。どうやら、誰にでも必ず起きるものではなく、その発生メカニズムも解明されていないらしい。

高速で走っているとき(とくに下り)にSpeed Wobble は絶対に起きてほしくないものだが、せめて原因を知っていれば、なんらかの対策はできるはず。

ということで、「ハイスピード下でロードバイクがグラグラ揺れてしまう現象の対処法(How To Solve Speed Wobble On Your Bike)」を翻訳してお届けしよう。



原因その1: ホイールのアライメントが出ていない

ホイールがまっすぐに装着されていないというヒューマンエラー。パンク修理とか輪行で脱着して、急いでホイールを戻したりすると、クイックリリースがきちんとエンドにハマっていないことがある。

両輪がまっすぐに装着されていないことで、互いのホイールのゆらぎ、ぶつかり合い、共鳴して振動を引き起こすというわけだ。

アライメントはパッと見ではなかなか見分けがつかないので、ホイールを取り付けたときはホイールを回し、ナナメに取り付けていないか、ブレーキシューがリムに触れていないかをチェックしよう。

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リムがブレーキシューに当たるんだよな~。キャリパーがズレているのかな~」ってブレーキ本体を調整していたら、そもそもホイールが正しく装着されていなかっただけ……は、典型的なサイクリストあるあるだと思う。

まずはこれが考えられる第一の原因。

原因その2: 重心を後ろにかけすぎている

下りでは、やや重心を後ろに置き、前転を防ぐのがセオリーだけど、これがSpeed Wobble の原因になることもあるそうな。

メカニズムとしては、

1.重心が後ろに行き過ぎる

2.前輪にしっかりウェイトが乗っていない

3.あたかもシートチューブを中心にして、前輪がピボット運動をし始める

4.フレーム前部と前輪が(大袈裟に言うと)左右に揺れる


ということらしい。言葉だとわかりにくいかもしれないので、画にしてみた。

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※シートチューブを中心にして、バイクがブルブルと震える

ただ、これが起きやすいのは昔の柔らかめのフレームで起こりやすいだけで、現在のフレームは剛性が高いので、原因にはなりにくいらしいとのことだ。

原因その3: 走り方、ペダリングの癖で起きることも

バイクそのものにではなく、ライダーが原因でSpeed Wobble が発生することもある。信じられないが、気温が低くて身体が凍えると、その震えでSpeed Wobble を引き起こすこともある。もしくはペダリングの癖とか、上半身が人よりも左右に揺れやすい走り方をする人のも、起こりやすい。

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※寒さ対策、大事

もうこうなってくると、原因がどこにあるのかわからなくなってくる。ピンポイントで原因究明するのは、なかなか難しい。一つ一つ、想定される要因を潰していくしかなさそうだ。

原因その4: バイクのサイズが身体に合っていない

Speed Wobble は、小さすぎるフレームを使っている人に起こりやすいそうだ。加えて、ヘッドチューブの角度とトレイル値も影響する。

トレイル値とは、操縦管芯線(操縦軸または頭管軸)をずーっと延ばして路面と交わる点と前輪タイヤのハブ軸から垂直に降ろした線の接地点の長さのこと。

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※三角形の底辺の部分がトレイル値です

トレイル値が多い、少ないのどっちが良い悪いという話ではなく、フレームのキャラクターをわける要因になる。トレイル値が多ければ(ヘッドが寝ていれば)ハンドリングは重くなり、少ない(角度が立っている)とハンドルがクイックになる。

で、Speed Wobble が起きやすいのは、ハンドリングがクイックになりやすいトレイル値が少なめ、のケースらしい。

あと、小さめのフレームを使うと、そのぶんシートポストが長く突き出ることになるし、ヘッドのスペーサー量も増えてしまう。ひいては、フレームがたわみやすくなる要因となり、Speed Wobble につながりやすい。

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※小さいフレームを好んで使う方も、まれにいらっしゃる

原因その5: 手放し運転

これは言うまでもないことだが、ハンドルにウェイトがかかっていないわけで、「そりゃあ、ぐらつきやすくなるだろ」ということは直感的にわかるはず。

平地であればまだしも、下りで手放しは、Speed Wobble のリスクだけでなく、とても危険なので、積極的におこなうことではない。

Speed Wobble に遭遇したときの対処法

Speed Wobble の対処法だが、まずは体重をバイクの中心に持っていく。そして、身体をなるべく地面に近づけて、重心を下げる。

もしくは、サドルから少しだけお尻を浮かせて、体重を両ペダルに乗せて重心を下げるのもアリ。そのとき、片足を6時の方向に下げるのも有効だ。そうすることで、シートチューブが回転のピボットになるのを諌める効果がある。

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さらに、可能であれば、腕をリラックスさせてサスペンションとして使いつつ、下ハンを握るのもGOOD。まあ、ブラケットを握っているときにSpeed Wobble が起きて、「おやおや、では下ハンに切り替えますか。どっこいしょっと…」、なんて悠長なことは現実的にはできない気もするが、知識として持っておきたい。

急ブレーキは禁物

Speed Wobble に遭遇したことは無いので想像だが、きっと反射的に「ブレーキをかけたい!スピードを落とさねば!」って考えると思う。しかし、ロードバイクにおいて急な動作は禁物。パニックブレーキはダメ。最悪、身体がふっとばされてしまうこともある。

フロントブレーキはかけずに、リアブレーキのみをゆっくりかけて、止まるのではなく、減速させる。徐々に減速させて、Speed Wobble が収まるまで落ち着いてからフロントブレーキを使おう。

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以上、Global Cycling Network の「ハイスピード下でロードバイクがグラグラ揺れる Speed Wobble という現象の対処法」をお伝えしました。

動画内では触れられていなかったが、単純にバイク・メンテナンスが行き届いておらず、ネジが緩んでいることもありえる。まあ、その場合はハイスピードを出すまでもなく、乗り始めてすぐにあきらかにオカシイって気づけるだろうが。

増し締めをする、定期的にショップに持っていき、メカニックさんに診断してもらうのは、自分の身を守るためにも有効なので、メンテナンスに自身のない人はプロのお世話になっていただきたい。


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※こっち見んなw


さて、初の女性購入者は現れるのであろうか…。