シマノの最高峰コンポーネント、新型デュラエース(9100系)が発表された。

自分もデュラエース愛用者として、(買える、買えないはさておき)どうしても新型は気になってしまう。 デュアルコントロールレバーからリヤディレーラーまで、各パーツがブラッシュアップされており、なんと機械式(ヒモ)、Di2(電動)に加えてディスクブレーキモデルも登場したんですって。

しかもローギヤに30Tが使えるようになったのもトピック。前作デュラエース(9000系)では28Tまでしか選べなかったのが、ギヤ比のワイドレンジ化を可能にした。これで激坂ヒルクライムも安心だ。

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※こちらは現行の9000系デュラエース

さらに、シマノとして初となる「クランクにパワーメーターを搭載できるモデル」が登場した。一部機能をのぞいて現行9000系デュラエースと互換性があるそうな。これはうれしいニュースだ。

くわしくは、「待望のモデルチェンジ! 新型シマノ・デュラエースR9100系の全貌」(産経サイクリスト)をお読みください。  

しかし!あちこちでこのようにニュースになってはいるが、実際に乗ってみてのインプレッション記事はまだ見つからない。そこで、困ったときのGlobal Cycling Network である(笑)。案の定、9100系デュラエースのインプレッション動画を公開していたので、ニヤニヤしながら再生してしまった。(彼らはマジで仕事が早い…)

購入しようかどうか迷っている方の参考になれば幸いである。


First Ride! NEW Shimano Dura Ace R9100 Groupset



スプロケットは11枚ギアのまま

「なんだー、12速化はまだなのかー」という気もするが、そもそも12速も必要なのかどうか。個人的には12速化されるより、現行の9000系デュラエースのパーツと互換性があることのほうが嬉しい。なお、ロー側5枚がチタン製である。

トピックは、「11-30T」がショートケージのリアディレイラーのまま使えるようになった点。これ、プロチーム側の要望を反映したものらしい。なるほど、山岳ステージでも平坦ステージでも、ホイール交換だけで幅広いスプロケットが選べるのはメカニックにはありがたい話だ。

ちなみに、9100と9000系は互換性があるので、チェーンやスプロケットを使いまわすことは可能。

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※12-25Tのデュラエース・スプロケット

9100系デュラエースは4タイプの中から選べる

これまでは機械式と電動式の2タイプからしか選べなかったのが、9100系からはディスクブレーキ版にもそれぞれ機械式と電動式が加わる。

つまり、 機械式 × リムブレーキ 電動式 × リムブレーキ 機械式 × ディスクブレーキ 電動式 × ディスクブレーキ の4つがラインアップされるのだ。なお、今回の動画でインプレされるのは「機械式 × リムブレーキ」のもっともオーソドックスなバージョン。「シマノから借りれたのがこれ(ヒモ)しかなかったの」とサイモンさんは釈明していた。ディスクブレーキ版のDi2のインプレが登場したら、追って紹介しようと思う。

新型デュラエースが目指したモノ

シマノいわく、新型デュラエースでは

1.エアロダイナミクスの向上
2.インテグレーションの向上
3.システムロスの最小化

を追求したそうだ。しかし、サイモンさんは「ぶっちゃけ、そのへんはわかんない(´・ω・`)」と正直にコメントしている。9000系に比べて劇的な変化は感じられないようだ。 では、どの辺が具体的に進化したのか?

リアディレイラーに劇的変化はないけど、フロントディレイラーは大きく変化

まずはリアディレイラー。11速から30速まで、標準のメカでシフトが可能になった。ふむふむ、山を登るような方には嬉しい改善だ。

次にフロントディレイラー。こちらは抜本的な変更がおこなわれたとのことで、サイモンさんも「期待以上で驚いた」とコメント。9000系でも十分に操作は軽かったのだが、そのタッチがさらに絶妙になったそうな。

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※嬉しそうにインプレするサイモンさん

9000系は軽かったとはいえ、そこそこのストロークをさせなければならなかったのだが、9100系はそこの見直しがされていて、「まるでリアディレイラーの操作のようなリニアな感覚が味わえる」と語っていた。付け加えると、機械式はケーブルアジャスターをディレーラー本体に搭載しているんですって。

レビュアーのサイモンさんによれば 「劇的な変化とは言わないけど、比較するとちゃんとわかる。そんな差だね」と話していた。

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ディスクブレーキの性能は素晴らしい。しかし…

STIに大きな差は感じないようだ。それは、ブレーキタッチはリムブレーキバージョンのタッチに変化が少ないという意味。シマノは「ディスクブレーキバージョンでもリムブレーキと同じ感触が味わえるようにしたそうな。つまり、ディスクブレーキ、リムブレーキ、どちらを選んでもブレーキフィールはほぼ同じにセッティングされているということになる。

あと、シマノは「ディスクブレーキ版のSTIブラケットをリムブレーキ版とまったく同じにするのに苦労した。同じにしないと、プロ選手がバイクを交換したときの違和感につながってしまうため。

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※機械式のレバー可動域はこんな感じ

動画の4:30あたりからKarsten Kroon(カルステン・クローン) さんというシマノのテスト・パイロットが登場する。元プロ選手でツール・ド・フランスにも出場したことのある方。

ウィキペディアによれば、1976年生まれのオランダ国籍。ラボバンク、BMCレーシング、サクソバンクに所属してきたクラシックレースのスペシャリスト。ツール・ド・フランスでも区間賞を一回獲得している。

で、Karsten Kroon(カルステン・クローン) さんのコメントをまとめると、デュラエースは細かな改良を続け、確実に毎回良くなっているとのことで、特にディスクブレーキのほうは「まったくもって素晴らしい」と断言。

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「ウェットコンディション、ドライコンディション、さまざまな路面で猛スピードで走りまくったけど、ディスクブレーキの性能には舌を巻いた。ただ、ディスクブレーキをレースで使うか?と問われたら…元プロの立場で言うとNOかな。個人としてサイクリングに所有する分には申し分ないけど、プロレースでは怪我が怖い」 とも。

28Cタイヤが使える

これまでのデュラエースでは25Cまでしかクリアランスがなく、28Cを履かせようと思ったらいったん空気を抜いてやる必要があった。「空気入れるだけじゃん」って話ではあるんだけど、車載や輪行のたびに空気を抜き、目的地で再びハイプレッシャーに戻すのは結構メンドーな話。

ロードバイクの700Cのタイヤに7気圧入れるのがどれだけ大変かは、ロードバイクに乗っていない人には想像がつかないはず。それはそれはしんどくて、真夏は汗だくになれる(笑)。

自分も、タイレル(Tyrell)のCSI に9000系デュラエースを載せているが、28C相当のシュワルベのデュラノを履かせているため、ホイールを外すたびに空気を抜かねばならなかった。車載の場合はフロアポンプを持参することで難を逃れたが、それが理由で輪行は一度もしたことがない。

つい先日は、ついにそのめんどくささから開放されたいがために、シュワルベワン(23C相当)に買い換えてしまったくらい。しかし、これからデュラエースを買う方は、28Cがふつうに使えることになる。

なお、ノーマルキャリパー、ダイレクトマウントタイプともに28Cタイヤまで装着可能。これはGOODニュースだ。 なお、参考までにシマノがフランスで発表したデュラエース9100のプレス向け発表会の動画も貼っておこう。

New Shimano Dura Ace R9100 Launch – Exclusive Video!



2016年6月に公開されたメーカーの発表なので、(9月の今となっては)すでに公開されている情報でもある。よって、わざわざ翻訳はする必要ないかな・・・というかんじ。

個人的に気になるところ

クランクセットがより太い4アームになった。初見では「うわ、ダサい…」って思ってしまった。もっとあけすけに言ってしまうと、「物欲をぜんぜん刺激されない。欲しくない」のね。

クランクのデザインは9000系のほうがぜんぜんいい。しかも、9100系は(今のところ)黒しかないのもマイナスポイント。シルバーの光沢がないため、(個人的に)高級感が薄れた印象。

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※こちらは9100系のクランク

重量は7グラム軽くなったとは言え、オッサンサイクリストの自分には魅力には映らない。 あと、魅力がよくわからないのが「シャドータイプ」という点。MTBではリヤディレーラーが外側に張り出す量を減らすことで、岩への接触リスクを低減しているけど、ロードバイクでそれって必要なのかしら?という印象。

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※9000系のクランクのほうがカッコいいような気がする

まあ、ディスクブレーキ版はリヤエンド幅が広がるので、張り出しを減らすことは意味があるのかもしれないが…。

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※贅肉が取れてシャープなデザイン…これをどう評価するかは難しい…

以上、Global Cycling Network によるシマノ・デュラエース9100のインプレ動画の翻訳をお届けしました。 自分は9000系デュラエースで十分に満足しているので、新型の購入は当面見送るつもりです。

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