なんとなく理解できるが、しっかり腹落ちしていないことがある。それは、「ロードバイクとシクロクロスの差」について。自分がシクロクロスを試乗したことすらなく、「シクロクロスとはこういうものか」と体感していないのが大きいような気がする。

どちらも似たフレーム形状だし、シマノやカンパニョーロといった同じコンポーネントを使うし…目立つ違いは、シクロクロスは「タイヤがワイド」、「ブレーキがキャリパーではない」くらいだろうか。

シクロクロスは山やダートコースでのレース使用がメインという勝手な先入観もあり、競技レースに出場しない自分は気軽に手を出してよい種類のバイクではない気もしている。

2015年11月にrapha主催のスーパークロス野辺山を取材させてもらったときに痛感したのだが、「シクロクロスってのは、化物のような脚力と心肺能力が求められるなぁ、自分のようなオッサンにはハードルが高いなぁ」と羨望の眼差しで出場選手を見ていた。

自転車歴6年の自分ですら近いようで遠いシクロクロスについて、Global Cycling Network がその差を解説してくれていた動画を発見したので翻訳して紹介してみます。


Road Bike Vs Cyclocross Bike - 5 Key Differences


ロードバイクとシクロクロスの違い(その1):タイヤの種類と幅

ロードバイクは23~28cのタイヤを履くのが基本。そして表面はスリック(すべすべ)である。対してシクロクロスは32~35cを履くのが一般的。

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シクロクロスのタイヤは路面コンディション(砂、土、泥、ダート等)によって使い分けられるよう、いくつものパターンのタイヤがある。タイヤ幅が広くなるということは、乗り心地がよくなり、パンクリスクも低減させられる。

ロードバイクとシクロクロスの違い(その2):ブレーキの種類

ロードバイクとシクロクロスの違いとして、もっとも目につきやすいのがブレーキ。ディスクブレーキ採用のロードバイクも増えてきてはいるけれど、もっぱらキャリパーブレーキがまだ主流。

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※ロードバイクでお馴染みのキャリパーブレーキ

シクロクロスでキャリパーブレーキを使うと、クリアランス不足で泥が詰まってしまって使い物にならない。シクロクロスのブレーキはカンチブレーキかディスクブレーキのどちらかになる。 でもって、今のシクロクロスの主流は断然ディスクブレーキだそう。

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※これはカンチブレーキ

ディスクブレーキは制動力も高いし、クリアランスも十分で、泥や砂が詰まってしまう心配もない。ロードレースよりも、全然早いタイミングでディスクブレーキが採用されてきた。

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※ディスクブレーキってカッコイイな・・・

ロードバイクとシクロクロスの違い(その3):ペダル

ロードバイクとシクロクロスでは、使うペダルが異なる。ロード用のSPD-SL等はシクロクロスには不向き。土や坂を走ることが多いシクロクロスでは、頻繁にビンディングペダルの脱着が発生する。

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※両面タイプがオススメ

いかに素早くバイクにまたがって、瞬時にクリートをはめてスピードに乗るかが勝負の分かれ目なので、片面タイプで装着に手間取ってしまっては、タイムロスになってしまう。

よって、使われているのはMTB用のSPDとかクランクブラザーズのような、泥が詰まりにくいペダルで、しかも両面脱着できるタイプ。そういう意味では、自分のSPDである(PD-A600)は片面なのでシクロクロスにはまだ不向きということがわかる。

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※クランクブラザーズはシンプルさが美しい

ロードバイクとシクロクロスの違い(その4):ジオメトリー

自分はシクロクロスに乗ったことがないので、動画内のサイモンさんの言葉をそのまま翻訳するのだが、「乗り比べれば、ロードバイクとシクロクロスの違いにすぐに気づくはず」とのこと。

シクロクロスのほうが、ホイールベースが短めで、アップライトな姿勢になるそうな。ロードバイクよりも平均時速が遅いので、エアロダイナミクスはさほど重要ではないのが理由のひとつ。そして、アップライトなほうがコーナー等でのバイクコントロールが段違いにしやすく、バランスも取りやすいのがもう一つの理由。

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※アップライトな姿勢のほうがコントロールしやすい

ロードバイクとシクロクロスの違い(その5):ギアの組み合わせ

ロードバイクのチェーンリングは50-34Tとか、53-39Tが一般的。ハイスピードで走るロードレースならでは。シクロクロスで時速40キロ以上出すなんてことはないので、それほど大きなチェーンリングは求められない。 もっぱら46-36Tくらいが主流で、組み合わせるスプロケットは11-28Tくらいとのこと(もちろん、脚力とコース設定で幅広い選択肢がある)。

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ただ、シクロクロスではフロントシングルで走る人も少なくない。構造が単純化できるし、軽量化にもなる。

さらに、フロントシングルにすることの目に見えないメリットのひとつに、「チェーンのテンションを高く設定することができる」があって、そうすることでチェーンが暴れにくく(&外れにくく)なる。デコボコ道を走り続けるシクロクロスにおいて、これは助かる。コメンテーターのサイモンさんも、「僕はフロントシングルで走るのが好み」と話していた。

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※こんなコンディションで走ると、チェーンは上下に激しく暴れる

ただし、フロントシングルで走るということは、ギアが11段しか選べなくなるので、スプロケットのギアはワイドレシオになりがち。それを嫌って、フロントダブルにしてクロスレシオにする選手もいるんですって。ううむ、奥が深い。 


以上、ロードバイクとシクロクロスの5つの違いをGlobal Cycling Network の動画から翻訳してお届けしました。シクロクロス、1台あれば違った用途にも楽しめそうな気はするのだが、単純に我が家にはスペースが無いので導入は厳しそうである(笑)。


2015年秋にRaphaスーパークロス野辺山を取材させていただいたときの記事もどうぞ

Raphaスーパークロス野辺山で、生まれて初めてシクロクロスを生体験した (前編)

Raphaスーパークロス野辺山で、生まれて初めてシクロクロスを生体験した (中編)

Raphaスーパークロス野辺山で、生まれて初めてシクロクロスを生体験した (後編)