ロードバイクのブレーキは消耗品だし、大きな負荷がかかる場所なので、遅かれ早かれ消耗する。ブレーキパッドは定期的な交換も必要だ。


ただ、メンテナンスの仕方によっては長持ちするだけでなく、パフォーマンスを向上させることも可能だ。


その方法をGlobal Cycling Network(GCN)の動画で解説していたので、翻訳しながらご紹介します。



How To Improve The Performance Of Your Brakes





ブレーキパッドの摩耗

まず、キャリパーを広げ、ホイールを外す。でもってブレーキシューを外す。シマノであればネジで固定されているが、「カンパニョーロにはネジはない」そうな。


ブレーキパッドには溝があり、溝が浅くなればなるほど効きは悪くなる。何もしないまま乗り続けると、終いには(金属製の)台座が露出してしまい、リムと接触してしまう。


これはなんとしても避けなければならない。リムを傷つけてしまうと、ホイールがパーになってしまうからね。


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ブレーキパッドの溝が充分にあっても安心してはいけない。パッドの表面がピカピカしていたら、それはおそらくブレーキのかけ過ぎによって熱を持ったリムの温度で溶かされたせい。これが見つかったからといって、慌てる必要はなく、サンドペーパー等な優しくこすってあげればよろしい。


最後に、パッドに金属片が刺さっていないかも確認しよう。目に見えるかどうかの小さな金属片は、不可抗力でリムに拾われて、パッドまで運ばれてしまう。もし見つけたら、取り除いてあげよう。


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ブレーキパッドのコンパウンド

リムの材質が変われば、ブレーキパッドの材質もマッチしたものに交換しなければならない。わかりやすいのが、アルミのクリンチャーからカーボンリムホイールへ交換したとき(もしくはその逆パターン)。


ブレーキパッドは、(保障の問題もあるし)メーカー指定のモノを使うほうが賢明だろう。仮に「(サードパーティ製の)高級ブレーキパッドにアップグレードしたい」場合、動画に登場する元プロのサイモンさんいわく、



高価なブレーキパッドを使ったこともあるけど、僕はあまり差は感じられなかったね



と話している。まあ、この辺の感じ方は人それぞれなので、そういう意見もある、くらいに思ってもらえればよいだろう。


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※奥の黒いのが普通のクリンチャー用ブレーキシューで、手前の青いのがシャマルミレ用のブレーキシュー

なお、自分の場合、ホイールをカンパニョーロの「ゾンダ」から「シャマルミレ」に交換したとき、同じアルミクリンチャーホイールだったにもかかわらず、ブレーキパッド交換を余儀なくされた。


シャマルミレのリムは、ふつうのアルミクリンチャー用パッドではなく、専用のものを使わねばならない決まりだった。こういったこともあるので、ホイールを換えるときは、正しいパッドを使えているかはショップのメカニックさんに確認したほうがよい。


パッドがダメになるくらいならまだしも、誤ったパッド選択でホイールを傷つけてしまったら、目も当てられないもんね。


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ブレーキパッドのアライメント

ブレーキパッドを新品に交換したら、パッドの面が正しくリムにあたっているかどうかのアライメント調整をしよう。ブレーキの性能を充分引き出し、安全に走るために欠かせない。


リムに対し、パッドがキレイに面で当たること。リムの上に寄りすぎても、下に寄りすぎてもダメ。ちょうど真ん中に当たるようにしよう。


もしパッドが鳴く場合、進行方向(つまり前方側)の面が後方よりもちょっとだけ先に当たるよう角度をつける。アーレンキーで台座を緩めて、角度調整する。


個人的にこの作業が苦手で、なかなか狙った位置に合わせることができない。非常事態を除いて、自分は必ずメカニックさんにお願いすることをマイルールにしている。命を乗せるパーツなので、専門家に頼んでいるのだ。


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ブレーキケーブル

ブレーキレバーをどれだけ引いたらパッドがリムに当たるようにするかは個人の好みもあって、正解はない。ただ、ひとつだけ確かなのは、ブレーキパッドが摩耗するに連れ、リムに当てるために長い距離を引く必要がある。


調整は簡単で、ブレーキにあるダイヤルでおこなう。とは言え、摩耗がいよいよひどくなってくると、ダイヤル調整でも対処できない。そんなときはアーレンキーでブレーキケーブルをゆるめ、ブレーキパッドを中に(リムに向かって)押し込み、ネジを締め戻す。


この作業も少々慣れが必要だろう。個人的には、この作業もあまり好きではなく、ブレーキに関することはなるべくプロに頼むように自分はしている。要は、自分の技術をあまり信用していないのだ(笑)。


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ブレーキキャリパー

キャリパーも経年劣化してしまうパーツだ。とくにバネがそれに当たる。摩耗がひどくなると、摩擦が増してバネがブレーキレバーを押し戻せなくなってしまうことがある。


ケミカルでなんとかしようとした経験はサイモンさんもあるそうだが、「一度として、戻らなくなったキャリパーブレーキを生き返らせることに成功しためしはない」そうだ。よって、ダメになったキャリパーブレーキはおとなしく交換するのがよいだろう。


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以上、ブレーキのパフォーマンスを向上させるためにできること、でした。


くどいようだが、自分でブレーキをいじることに不安を覚えるのであれば、その直感は多分正しい。素直にプロのお世話になろう。


自分でもできるようになりたければ、やり方をメカニックさんに教わるとよい。ちゃんとしたお店であれば、喜んで教えてくれるはずだよ。