自分のロードバイク、BOMAのリファール(refale)には6800系アルテグラ(11段)を使っている。まもなく2年になるので、近日中にブレーキワイヤー、シフトワイヤーを総取っ替えする予定。
ワイヤー式のコンポーネントで充分に満足しているんだけど、電動コンポが気にならないかと入ったらウソになる。
コンポーネントを交換する予算はないので、もう数年は今のママでいこうと思うが、いつか電動化できる日を夢見て、いろいろと情報収集は続けている。今、もっとも注目しているのがSRAMの「RED eTap」。8月末にシクロワイアードさんが記事にしているが、それ以外には検索してもあまりこれといった新規情報が見当たらない。
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スラムがワイヤレス式ロードコンポ「RED eTap」を正式発表 (シクロワイアード)
ちなみにスラムをの日本代理店は愛知縁瀬戸市にある「ダートフリーク社」だ。ただ、公式ウェブサイトにも「RED eTap」の情報はない。ニュースもなければ、予告とか、予約受付とか、そういうコンテンツも一切ないのが不思議なところ。
ユーザーとメディアが騒いでいるわりに、メーカーと代理店はあまり積極的に情報開示をしていない印象。きっと、まだ発売まで時間があるからだろう。
参考リンク
SRAMグループ製品が新販売体制へ 国内代理店に決まった「ダートフリーク」に聞く今後の展開 (サイクリスト)
海外ではどうなのだろうと探してみたところ、あっさりと見つかった。サイクリングティップスで、スラムの無線電動コンポーネント「eTap」の詳細な記事(9月2日)が書かれていた。とても参考になったので、翻訳して紹介するね。
Will wireless shifting be a game-changer? SRAM introduces eTAP (無線のシフター「SRAM eTAP」はロードレースに変化をもたらすか?) サイクリングティップス
スラムがメディア向けにドイツでお披露目会を開催したそうで、そこに呼ばれたジャーナリストの方の声である。彼によれば、「3日間、じっくりeTAPを使った結果、ロードレースに革命をもたらす製品である」と確信を得たとのこと。
なぜ無線なのか?
スラムによれば、「(有線の)電動コンポーネントの最大の弱点は、接続ポイントのトラブルだ。ワイヤレスであれば、その問題が解消される」とのこと。※無論、バッテリー切れはその限りではない。
メリットはそれ以外にもある。コードレスゆえ組み上げるのがカンタンで、フレーム形状を選ばない点だ。ロードバイクのフレームではあまり問題視されないが、タイムトライアルやトライアスロン用のエアロ形状のバイクは、空気抵抗を考慮した作りになっており、ワイヤーの張り方が複雑&煩雑になっている。よって、無線のもたらす恩恵は大きい。
いっぽう、無線コンポーネントのデメリットは「シフター、ディレイラーにそれぞれバッテリーを積まねばならない」ことだ。無線ゆえ、電気供給は2箇所必要になってしまう。
ETAP の概要
開発には4年の歳月がかかった。フィールドテストでの走行距離は100万キロを越える。電気シフトのパテント(450個)活用したとのこと。スラムのeTAPのユニークな点は、シンプルでわかりやすい操作性を確保したこと。右側をクリックでシフトダウン、左側をクリックでシフトアップ。左右両方を同時クリックでフロントディレイラーを動かせるのだ。
<注意>
日本の雑誌の「サイクルスポーツ」内のeTAP紹介情報を読んだところ、なんと日本仕様は逆のようだ。「右でシフトアップ、左でシフトダウンする」と明記されている! 日本用には何らかの理由で逆らしい。(ただ、こればかりはどちらが正しい情報なのか、現物がないので判断しかねる)
タイムトライアル用のバイクには、 “Blip”シフターというものが使える。リモートのボタンでシフトアップ&ダウンができ、ハンドルバーの任意の場所に取り付けることが可能だ。なお、ロードバイクにも2つまでなら取り付けることができる。
価格
- eTAP (ロードバイク用グループセット) 2,758 ドル、 2,691 ユーロ、 2,059 ポンド
- eTAP (エアロ用グループセット) 2,835 ドル、 2,785 ユーロ、2,140 ポンド
- 2016年春に「世界同時発売」を検討中とのことで、日本の発売も同時期になる見込み
重さ
ロードバイク用グループセットはトータルで2,030グラム。(ブレーキケーブルとGPXボトムブラケットを含む)
ちなみにRed22(ワイヤー)は1,739グラム。
電池の持ち
eTAPには4つの電池が必要だ。2個のCR2032を両方のシフターに。リチウムイオン電池をフロントとリアのディレイラーに。
CR2032は2年も持つ!これは嬉しい。シフターの電池消費量はごくごくわずかなのだ。
ディレイラーの電池の持ちは、SRAMによれば「最低でも1000キロ(60時間)は走れる」とのこと。フル充電にかかる時間は45分。ディレイラーから取り外し、USB経由で充電できる。
電池残量表示はコンポーネント上で確認できる。仮にどちらかのディレイラーの電池が切れてしまった場合、前後の電池を入れ替えることが可能なので、なんとか帰宅することくらいはできるはずだ。(リアが切れても、フロントの電池を装着すれればいい…等)
もちろん、予備の電池をサドルバッグに入れておいてもOKだ。なお、電池が仮に切れてしまった場合、ギアはその時点の位置で固定され、変速は不可能。
電池寿命を延ばすためにSRAMはけっこう苦労したようで、さまざまな工夫が施されている。各ディレイラーには加速度計が仕込まれており、操作後30秒経過するとスリープ状態に入り、待機電力の浪費を防ぐそうだ。
シフトレバーを15秒押し続けると、これまた通信を中断するので電池消費量を抑えることができる。
バッテリースペック
- リチウムイオンポリマー
- キャパシティ 300mAh
- ボルト数 7.4v
- 重さ 24グラム
使い方
シフト操作は初めてでもすぐに慣れる。ブラケット形状はワイヤーと変わることはなく、REDと同じ。クリック感も「いい感じ」で、厚手のグローブをつけたままでもシフトの操作感は伝わってくる。
ひとつだけあった違和感は、右シフターをクリックしたときに、「シフトアップしてほしいのに、ダウンするのか」という気がしたこと。ただ、これもしばらく乗れば慣れてしまうらしい。
この点に関しては、SRAM社内でも議論が起きたそうだが、結論として「大した問題じゃないよね」ということで落ち着き、右でシフトダウン、左でシフトアップになったとのこと。現時点では、シフティングのプログラムを換えるソフトウェアは提供されていない。
インストール法
インストールはいたってカンタン。もちろん、ブレーキは従来と変わらない。使うツールはワイヤーグループセットと同じである。
欠点
電池の持ちはまずまず良いが、常に意識しておいたほうがいいだろう…とは思わされる。電池がいきなり切れてシャットダウンすることはなく、しこりのようなものは感じさせてるので、「あ、充電しなくちゃ」とは気づかせてくれる。
あと、LEDインジケーターはシフターを押したときにしか光ってくれないので、走行中に見るのはちょっと気をつかう。
“Blip” リモートシフターはタイムトライアルバイクには装着しやすいが、ロードバイクだと置き場所に困る。
総括
これまで、電動コンポーネントは「ワイヤーコンポーネントの問題を電力で解消する」というアプローチで作られてきた。しかし、SRAM eTAPはロードバイクコンポーネントが持つ根本的な問題である、「ケーブル類を排除する」ことで革命をもたらした。
SRAMは単純にシマノやカンパニョーロの後追いをしたのではなく、電動コンポーネントを新しいレベルに進化させているようだ。
ということで、来年春の発売が楽しみである。
※画像引用元は「サイクリングティップス」
コメント
コメント一覧 (2)
車への積載の関係でデモンタの
ダホンのTournadoとか珍品に乗ってますのでケーブル接続のいらない
eTAPの情報集めてて、翻訳は大変ありがたかったです
お役に立てて嬉しいです。「こんな情報も訳してよ~」とかリクエストあればお聞かせ下さい。
英語限定ですが……
(^^)