存在は知っているけど、使ったことのないサイクリングアイテムってのが誰しもあると思うのだが、自分の場合は「二酸化炭素ボンベ」と「シャモアクリーム」。

シャモアクリームってなにそれ?って方もいると思うのでご説明しますと、「サイクリングショーツのパッド部分に塗る、摩擦による皮膚の痛みを和らげるクリーム」のことですね。

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/ 容器はハンドクリームに似てる \

自分はパッドさえちゃんとしていれば皮膚が痛むとか剥けることはほぼなく、一度も使ったことはない。

で、このシャモアクリームってのはサイクリストの間で論争ネタになる(塗るか?塗らないか?)そうな。塗る場所が場所だけに、デリケートな話題だし、あまり公の場に持ち出すモノではない。「ねえねえ、シャモアクリーム使ってる?」なんて、けっこう仲良くならないと不躾すぎますもんね。

ということで、シャモアクリームの是非を問う動画をGlobal Cycling Network で見かけたので、翻訳してお届けする。

シャモアクリーム、使うべき?使わないべき?(Should You Use Chamois Cream?)



そもそもシャモアクリームの歴史は?

パッド付きのサイクリングショーツが誕生したのは1940年代。第二次世界大戦後あたりだろうか。70年ちょい前くらいの話なので、相当に長い。

当時のパッドは羊の皮で作られていた。使用始めは柔らかいが、何度も使って洗って乾燥を繰り返すと硬化する特性があり、デリケートな股間が擦れて痛んだそうな。

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見るからにゴワゴワしており、「これが股間とサドルの間を何時間も動くのか…」と想像しただけでヒリヒリしてきそう。パッドの材質としては理想的なものではなかった。

そこで生まれたのがシャモアクリーム。使い方はシンプルで、指に適量取って、パッドにダイレクトに塗り込む。

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/ 硬そう…>< \

1980年代には羊の皮から材質が見直され、タッチは優しいものになった。それに伴い、シャモアクリームの内容も変化して、それまでのものが「(硬化した)羊の皮を柔らかくする」役割だったのに対し、新型は痒みや摩擦を少なくモノに変化した。

ただ、3D形状はしておらず、のっぺりとした外見をしていて、ぱっと見は1940年代から大して進化していないようにも見える。

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/ 近年のパッドは見るからに快適 \

現代の最新型パッドは人体にフィットするようエルゴノミックな形状をして、フカフカで柔らかく、洗っても硬化しない。しかも抗菌仕様のものまで登場している。

自分も3Dのパッドを使っているけど、初めて試したときの感激はひとしおでして、「なんでわしはこんな便利なものを使わず、ただのパンツだけで走っておったのか…」って腰を抜かした。サイクリングショーツ無しで走るサイクリストさんはほぼ皆無だと思うけど、もしまだならぜひ試してほしい。自転車人生が激変するので。

つまり、シャモアクリームはもともと動物の皮をむりくり軟化させるために存在していたというわけ。よって、「最新型サイクリングショーツが普及した現代では不要じゃないの?」という意見も少なくない。

プロ選手と海外のホビーサイクリストはどうしてる?

実際、シャモアクリームの是非を問うのは海外でもよくあるそうで、そのたびに意見が別れるタブーな質問らしい。

ということで、プロ選手と海外ホビーサイクリストに「シャモアクリームつかってますか?」というアンケートを実施してみた結果がこちら。

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/ 上から順に「いつも使う」、「まったく使わない」、「ときどき使う」\

プロ選手と11人(誰かは不明)

・2人:いつも使う
・3人:一度も使ったことはない
・6人:練習では使わないが、レースでは使う


さすがにプロとなると練習量、強度が常人の比ではないので、シャモアクリームが必要になるのは理解できる。レースに限ると、8割近くが使っているようだ。

あと、プロは天候に関係なく走らねばならないので、「レースと練習で使い分け」ているのかもしれない。 


さらに、ツイッター経由のGlobal Cycling Network の読者投票結果がこれ。

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・常に使う:24パーセント
・一度も使ったことはない:45パーセント
・ときどき使う:31パーセント


4人に1人は常用してるのか…。ときどき使うを含めると、約半数が使用するそうな。

もっと少ない(1割くらい)と想像していたので、「海外では使っているサイクリストは意外に多いんだな」といった印象。

ちなみに動画で話しているのマットさんは、「今はほぼ使わないけど、プロ選手だった80年代は使っていたよ」とのこと。


以下、これから使おうと思っている方へのアドバイス。

二度漬け厳禁

ちょっと笑ってしまったんだが、コレはマジでNGだ。なんのことかわからないかもしれないが、よく考えてほしい。指にクリームを取り、直に股間に塗ってから、「おや、足りなかったようだ。もうちょい追加するか…」と同じ指を容器につっこむ……のがどれだけ非衛生かということを。

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/ 一度付けてから…\

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/ 更に追加はダメ!ゼッタイ!\

串揚げ店でソースを二度漬けしてはいけないのと同じ理屈です。(ヘタすると、店から追い出されますw)

二度漬けしたいなら、せめて指を変えましょう。

人との共有禁止!

これもまあ常識かと。他人様のクリームの容器に自分の指を突っ込むのはマナー違反だ。頼むほうも、頼まれるほうもあまり気持ちのよいものではない。

チューブ的な容器に入っているシャモアクリームであれば、二度漬けの心配はないので安心して共有は可能であるが。

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/ 微妙な空気に… \

人目のつかない場所で塗りましょう

成人男性が公共の場(ホテルのロビーとか駅の構内)で股間をゴシゴシ…想像しただけでおぞましい姿だ。トイレとか自室とか、人目の付かない場所で行いましょう。
※ふと思ったんだけど、女性サイクリストも使うものなのだろうか…(使わない理由はないと思う)

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/ これみよがしに塗る人はいないだろうが… \

結論、使うべき?使わないべき?

ハッキリ言って「どっちでもいい」。お好きにどうぞとしか言いようがない。必要性を感じなければまったく不要だが、パッド周辺に違和感がちょっとでもあれば一考の価値はある。

目安として、「週に2~3度走る程度(つまりごくふつうのホビーサイクリスト)で、さほど長距離走るわけでもなく、さらに状態の良いサイクリングショーツを使っている」のであれば、シャモアクリームはたぶん不要。

しかし、走行頻度が上がり、ロングライドが増えて距離も伸び、さらに雨天でも走るようなことがあるのなら、シャモアクリームのお世話になるとさらに快適に走れるだろう。

「距離は短いし、たまにしか走らないけど、途中で股間周囲がなんとなく不快になるんだよね~」って方は、シャモアクリームは比較的安い投資なので、トライしてはどうだろう。

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マットさんは「普段は使わない」とは語っていたが、「悪天候時に長距離を走らなければならないときは、快適性維持のために塗っているよ」と話していた。

ひとつお伝えしたい重要なことは、「シャモアクリームでサドル痛は解決しない」という点。

皮膚を摩擦から守るのがシャモアクリームの役割であり、合わないサドルでも走れるようになる…わけではないのでご注意を。サドルとお尻はあっていることが条件だ。

自分はシャモアクリームは使ったことはないが、ロングライドを繰り返した時期に股間の皮膚がヒリヒリする(軽く擦りむけた)ことなら数回ある。軟膏を塗り、数日おとなしく(三本ローラーも乗らない)していたら治った。

そのときに、シャモアクリームを塗ってたら、問題は起きなかったのかな・・・と考えたことはある。

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ただ、個人的な意見では、皮膚が擦れて不快…ってときは、たいていパッドがヘタって(潰れて)、股間にフィットしていないってことのほうが圧倒的に多い。

なので、パッドのコシがなくなってきたら、股間が痛む前に潔く交換することにしている。

以前、1枚のショーツを繰り返し使っていたんだけど、半年~8ヶ月でオシャカになったものだった。 今は3つのサイクリングショーツと1つのビブショーツの合計4枚をローテーションさせている。 (週末連チャンとか、泊まりで行くようになると、最低でも3枚でローテしたほうが良い)

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潰れたパッドでガマンして走るとすごく気持ち悪く、ペダリングするたびにひりひりするのは、まじでやってられない。楽しいサイクリングが一気に苦痛になるので、ショーツは消耗品と割り切って、こまめに交換することをオススメする。


以上、Global Cycling Network の「シャモアクリーム、使うべき?使わないべき?(Should You Use Chamois Cream?)」をお届けしました。



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