サイクリストの間に衝撃が走ったバズフィードの記事をご存じだろうか。

自転車ツーリング中にシミー現象が発生して車と衝突し、大けがをする事故に遭ったが、ヘルメットのお陰で命拾いした大阪府の男性への取材記事である。

>> 「そのまま使っていたらと思うとぞっとする」事故で大破したヘルメットが物語る(バズフィード)

衝撃的すぎる動画も公開されていたので、「あれか…」と覚えている方もいると思う。

事故は2017年7月26日に発生。琵琶湖1周ツーリングの途中、ゆるやかなカーブで突然ハンドル操作が効かなくなり、対向車線を走ってきた軽乗用車に衝突。時速約40キロのスピードが出ていたらしい。

時速40キロといったら、相当なスピードである。このスピードで事故ったら無傷ではいられない。いや、まず大ケガは避けられないし、ヘタしたら命を落とす。
※男性は額を10針、唇を4針縫う等の大ケガを負い、事故前日の夜からの記憶を失った。

自転車に取り付けられたカメラの映像で、カーブの途中からハンドル操作ができなくなり、小刻みに震えたまま直進して対向車線から来た車に突っ込む様子が確認できる。(何度見ても足が震える…)



男性サイクリストはさぞかし焦っただろうが、ドライバーもキモを冷やしたことだろう。

この現象、知ってるサイクリストは知ってるか、なぜ起きるのか?どうすれば発生を防げるのか?にはなかなか答えられないかも。

「こうすればカンペキ」という明瞭な回答はないのだが、わかる範囲で書きますと…

事故原因は『シミー現象』か

ハッキリした事故原因は不明だが、『シミー現象』の影響で、ハンドルがぶれたのではないか」と男性は推測している。

ウィキペディアによると、「シミー(shimmy)現象」とは…

走行中にバイクや自動車をはじめとし航空機や自転車などにおける車輪、車軸を含む舵取り装着全体の振動のことを称する。シミー現象が大きくなると舵取り装着が激しく首ふり振動するようになり操縦困難に陥る。

主に速度が80キロメートル毎時以下の低速度走行時において発生しやすく、40キロメートル毎時から50キロメートル毎時で発生したシミー現象を低速シミー、100キロメートル毎時から120キロメートル毎時で発生した場合は高速シミーという。

自転車の場合、低速シミーであることがわかる。 (※ちなみに海外ではshimmy ともwobble とも呼ばれるが、意味は同じ)

カンタンに言うと、それなりのスピード下で走行中にハンドルが上下左右にガタガタ震えて、ハンドル操作ができなくなる…現象のこと。一度起きたら、腕力で抑え込むことはまずムリ。一刻も早く減速して停止するしかない。

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他にもシミー現象の動画があるか調べたら、海外を中心にいくつか見つかった。


This what happened at around 40mph down hill. Road Bike High Speed Wobble 1st person view ( Shimmy)



40mphは時速64キロに相当する。つまり、むっちゃくちゃぶっ飛ばしている。公道で時速64キロ出している時点で相当にヤバいのだが、それはさておき、動画開始50秒くらいからシミー現象が起きる。

前後から車は来ておらず、歩行者もいない田舎道だったせいもあって、なんとか路肩に安全に停止することができた。

「マジで焦ったわ…」という心の声が聞こえて来そう。

履いているホイールはカンパニョーロのBORA(詳細銘柄までは読み取れなかった)で、リムハイトはわりと高め(50ミリ以上?)のモノであることがわかる。



Rapid Rich Stoodley ..... Evil Cycling Wobble !



こちらは下山中のロードバイクの後ろ姿を、車から撮影した動画。ミスマッチはBGMはさておき、1分20秒からシミー現象が始まる。シミー現象に襲われたロードバイクがどんな挙動をするかが収められた貴重な映像だ。

腕が激しく左右に揺れ、ハンドル操作できなくなったライダーは為す術無くあらぬ方向(対向車線)に向かっていく。もしも対向車線から車が来ていたら、正面衝突していただろう。落車することなく停止できたものの、これも見ていて身の毛がよだつ。


コメント欄を読むと、色んな意見が書き込まれていた。


ブレーキがオフセットになっていると起きる。片方のパッドともう片方に微妙なラグがあることで振動が起きるんだ

なるほど、それも一因になりえるな……


ブレーキボルトをしっかり増し締めして、ブレーキがオフセットになっていないかどうかを確認しよう

ボルトが緩んでいないかどうか、定期的な診断をすることで予防できそう


タイヤの空気圧が高すぎると起きるから、圧に注意すべき

そういうものなんだろうか?


ホイールを脱着した後は、正しい位置にホイールが装着されているか、必ず確認しようぜ

基本中の基本ですね。


タイヤ交換を考えたほうがいいんじゃね?

シミー現象以前の問題として、寿命を迎える前のタイヤ交換は大事


オレもこないだ遭ったわ~、しっかりハンドル握って死んでも離すな。あと、とにかく減速しろ

そう、なにはともあれ減速大事。

などなど…。

シミー現象の発生原因は複雑すぎてよくわからないが、我々サイクリストにできる心がけは、

  • 適正なタイヤの空気圧
  • タイヤの寿命に注意する
  • ブレーキボルトがしっかり締まっているか
  • ブレーキシューがオフセットになっていないか
  • ホイールがフレていないか

辺りだろうか。

日常的なメンテナンスはもちろん、定期的にショップで診てもらうとなお安心。なにしろ、命に直結することですからね…。

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なお、件(くだん)の大阪の男性は、

事故が起きる数カ月前に、3年以上使っていたヘルメットをちょうど買い替えたところだったんです。なので、前の古いヘルメットをそのまま使っていたらと思うと、ぞっとします。

ヘルメットを被っていたら絶対にけがをしないわけではないですが、確実にけがの程度は軽減してくれます。この写真を通じて、ヘルメットの重要性を改めて知ってもらえたらと感じています。

と語っていた。

本当にそのとおりだと思うし、軽症で済んだのは不幸中の幸いだった。ヘルメット、マジで命綱。

自分もヘルメットは3年以内に交換すると決めている。2015年5月に買って今も愛用中のスペシャライズドの「プリヴェイル」はもうすぐ2年半が経過するところ。遅くとも、来年の冬の間には買い換えるつもり。

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/ 2015年5月から使ってます \

ちなみにプリヴェイルは新作が登場してますね。ヘルメットは安くない買い物なので、じっくり検討する。


以前、Global Cycling Network のシミー現象に関する記事を翻訳したので、これも参考にどうぞ。

>> ハイスピード下でロードバイクがグラグラ揺れる「Speed Wobble」という現象の対処法


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