雨天の中をロードバイクで走るのは楽しいものではないが、サイクリストである以上は避けて通れない。お天道様には人類は(まだ)勝てない。

雨天走行で完全にドライでいることはほぼ不可能と言ってよく、どんなに対策を講じても濡れるものは濡れる。

とはいえ、濡れ方と程度は服装の選び方でかなり変わる。冬の雨は、下手をすると風邪をひくこともあるので、コツを知っておいて損はない。



ということで、Global Cycling Network で紹介されていた「雨天でもなるべく快適にロードバイクで走るためのコツ(How To Ride In Rain And Wet Weather)」を翻訳してご紹介しますね。
※2013年の動画で、まだサイモンさんの話し方が今ほどこなれておらず、緊張感が見て取れる…(^^)

雨天走行のコツその1: アウターの選択

GORE-TEX等でできた、水を弾く完全防水型(全天候型)のハードシェルジャケットのほうが「防水性が高い=GOOD」なような気がするが、ロードバイクで走る場合はむしろソフトシェルがベター。ハードシェルは着心地がゴワゴワし、身体にもフィットさせにくい。

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レインジャケットは完全防水ゆえ通気性が悪く、湿気と汗が放出されずに中にこもる。結果、「外側はドライなのに、内側がベッタベタ…」状態になってしまって超不快。

ソフトシェルジャケットは、ある程度の浸水は許す代わりに通気性は高いので、熱や湿気が適度に入れ替わってくれる。「内側も外側もほどほどに湿っているけど、ベタベタじゃないし、わりとイケるんじゃね?」…と表現すればいいだろうか。そう、わりと「イケる」のである。実際、プロレーサーが雨天時に着用するのはソフトシェルのほう。
※ただし、土砂降りの雨だったら諦めてください(笑)

では、完全防水型のレインジャケットはいつ着るのかというと、クロスバイクとかシティサイクル(ママチャリ)等で短距離移動するとき。つまり、汗をかく強度の運動(&距離)ではないときに役立つ。

雨天走行のコツその2: シューズカバー

冬は必須のシューズカバーは、雨天時にも便利。用意するのは薄いタイプでOKだ。防寒性能の高いネオプレーンもいいが、厚手なのでややごわごわするのがデメリット。

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プロはシューズカバーを重ね着するそうで、まず薄手のシューズカバーをし、それでも寒ければ、薄手のネオプレーン製を装着する。足先だって、それ以外の体の部分のようにレイヤリングすればよいわけだ。

ちなみに自分のお手軽レイヤリングは、つま先にアルミホイルを履かせる…である。劇的に暖かい!わけではないが、無いよりは幾分かマシ。

>> 冬のロードバイクの足元防寒に、アルミホイルが超役に立つ

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/ 冬場はコレやってます \

ただ、さすがにアルミホイルだけで厳寒期(気温五度前後)は凌げないので、シューズカバーはひとつ持っておいたほうがいいです。(個人的には、厚いモノではなく、薄手で十分だと思う。それでも寒い季節だけアルミホイルを巻きましょう)

雨天走行のコツその3: サイクルキャップ

かぶるサイクリストは少数派だが、雨の日ははかどるアイテム。

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サイクルキャップには大きく2つの効果があって、

1.ツバの部分が雨が目に入るのを防いでくれる

サイクルキャップのツバは小ぶりで、「こんなモノに効果あるの?」って気がしないでもないが、着用するとハッキリわかる

アイウェアと額の間から雨水が入ってくるのをキレイにシャットアウトしてくれるのだ。

自分は雨天以外も(というか、乗るときは常に)サイクルキャップを着用する派でして、夕日の差し込みとか風邪の巻き込み防止にも効果があります。逆に、サイクルキャップが邪魔に感じたシチュエーションが皆無。ヘルメットと頭部がしっかり固定される感覚もあって、自分はサイクルキャップが手放せない。

>> サイクルキャップをかぶらないローディが多数派なのはナゼなんだぜ?

>> サイクルキャップが便利すぎて、手放せなくなってしまった

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2 多少の保温効果もある

ベンチレーションの多いレース向けのヘルメットは、夏は涼しくて気持ちいいけど、冬はそれが災いしてスースーするので、帽子を間にかませているわけ。

頭の寒さに弱い方はサイクリスト向けの(耳まで覆う)帽子をかぶるのもアリ。

>> サイクリングのファッションって何を着ればいいの?自転車歴6年のオッサンが時系列で己のダサい服装を振り返る

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/ 真冬でも耳はカバーなしでOKなタイプ \

雨天走行のコツその4: アウターの色

寒い季節は日の入りが遅く、日が暮れるのが早い。よって、歩行者やドライバーから視認されやすい派手めのアウターにしたい。ブラックや濃いレッドよりは、オレンジやイエローの蛍光色だととても目立つのでオススメ。
※ウインドブレーカーも同じ理由で原色の派手めがベター。

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店頭やウェブサイトでは「うわ…派手だなあ…こんなの恥ずかしくて着れないよ…」って感じるんだけど、公道に出てみると「あれ?そうでもないな(もうちょい派手なのを選んでもよかったかも…)」って感じるのはサイクリストあるある。

初心者は普段着の延長で「地味め」なカラーを選びがちだけど、「ちょっと派手かも?」って躊躇するくらいカラー(とデザイン)でちょうどいいくらいになるものです。

ちなみに自分はアウターをブラックにしてしまうというミスを犯しています…(5年以上使ってますが、買い替えがもったいないのでまだ現役)

せめて、ウインドブレーカーは視認性が高いものを…ということで、モンベルのを愛用してます。これ、むちゃくちゃ使いやすくて保温効果も高く、バカみたいに丈夫。「一生使えるんじゃないか?」って呆れるほど。

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/ ダウンヒルでも重宝 \

モンベルのインナー、アームカバー、レッグウォーマーには永年お世話になっているが、コスパがひじょーーーーによいです。
※ただ、デザインは地味めですが…

>> 自転車通勤を快適にする10個のテクニック

>> モンベルのウィンドブレーカーを2年間使い続けてみてのロングターム・インプレッション

>> 自転車用のウィンドブレーカーって高すぎね?

雨天走行のコツその5: バイクの対策

タイヤの空気圧をやや下げる

濡れた路面は滑りやすいので、タイヤの空気圧をいつもよりほんのちょっと(10~20PSIほど)下げることでグリップ力が増す。

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どれだけ下げれば正解ってわけではなく、乗り手次第。たとえば自分(体重68キロ)は、ふだんは前7.0BAR、後7.2BARなのだが、雨天であれば前6.8BAR、後7.0BAR…くらいで合わせるようにしている。

ウェットタイプのチェーンオイルを使う

チェーンオイルには大きく「ドライタイプ」と「ウェットタイプ」があって、雨天時のオススメはウェットタイプだ。

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雨水でチェーンオイルって洗い流されちゃうの?」と思うかもしれないが、はい、流されます。雨天ライドから戻ってチェーンを触るとドロドロになっているか、キレイサッパリ落ちてカッピカピになっているかのどっちか。

ウェットタイプのほうが雨水に流されにくく、チェーンに残りやすい。ドライタイプは乾きやすく、水に弱い。サラサラしていて個人的にはドライタイプが好みなのだが、雨天には向いていない。

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ただし、ウェットタイプは平常時にはオススメしないかな…と。というのも粘度が高いため、タイヤに巻き上げられた空気中の埃や砂がチェーンに乗りやすく、汚れの原因になるからですね。

大半の時間帯はドライタイプを使い、どうしても雨の中を走ることになる日(雨天決行型のロング系イベントやエンデューロ)のみウェットタイプで補完する…というスタイルがベストだと思う。

マッドガード

泥除け、ですね。見た目が若干アレになってしまうが、雨天時はカッコよさとかスタイルだとか言ってる場合ではない。

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(雨天で走ることが年に5回あるかどうかの)自分はマッドガードは未体験だが、マッドガードを付けていないロードバイクの水の巻き上げは尋常ではない。

後輪が巻き上げる水しぶきでアウタージャケットの背中はガッツリ汚れるし、サドルバッグとサドルも砂がびっちりと張り付いてビビる。

前輪の水しぶきもなかなか厄介で、ダウンチューブが汚れるだけならまだしも、膝から下が常に水しぶきを浴びているようなものなので、寒くて気持ち悪いことこの上ない。

まあ、雨天で長距離を走る機会が多い方であれば、ワンセット持っておいて損はないだろう。

おそらく大半のサイクリストは、「マッドガードを買うほどでもないんだよな…そんなに頻繁に雨天ライドするわけでもないし、それに使わないときは家の中でジャマになるし…」と考えると思う。であれば、折りたたみ&脱着タイプの簡易版がよいだろう。

バイクの見た目もスポイルされないわりに、後輪の巻き上げを7~8割カットしてくれるので、あるとないとでは大違いである。

雨天走行のコツその6: 走る場所の工夫

サイモンさんの雨天ライドのコツとして、「ヒルクライムはしない」を挙げていた。登るということは、下りが待ち構えているということであり、濡れた状態で長時間下るのは恐ろしくツラい。

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「寒いダウンヒルはマジで地獄」なのだ。風呂上がりに体を拭かずに玄関の外に出るようなもので、ホント苦しい。

もうひとつ、サイモンさんのオリジナルトレーニング法だが、「雨天や極端に寒いコンディションでトレーニングせねばならないときは、家の近くを周回する」とのこと。

なぜこれが効果的なのかはご本人も「よくわからない」とは語っているが、

たぶん、悪天候になりすぎたらさっと帰宅できるって安心感があるからじゃないかな?その安心感があることで、結局は長時間トレーニングすることになるんだけどね(笑)

と語っていた。

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まあ、今後はWahooとかTacx Neo 等に代表されるインドアトレーナーがさらにハイテクかつスマートに進化するだろうから、屋内で快適にトレーニングできる時代になるのは間違いないだろうが。

>> ロードバイク専門トレーニングジム&カフェ、「CITTECGALIBIER」に突撃してきた(ジムスペース編)

雨天走行のコツその7: シャミークリーム

晴天時であればあまり使う機会はないシャミークリームだが、雨天時にはかなりオススメ。濡れた身体は摩擦に弱く、長時間こすられ続けると皮膚へのダメージとなり、違和感と痛みを伴う。

「使うときは乗り始める前」にが鉄則だ。

>> 【サイクリストで意見がわかれる】 シャミークリームを使うべきか、使わないべきかに対するアンサー

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雨天走行のコツその8: ブレーキ制動力を知り、安全な車間距離を覚えておく

濡れた路面はグリップが悪くなるのでスピードは控えめに&コーナリングはややゆっくりめに走る・・・のは常識として、ブレーキそのものの制動力も落ちるのでダブルで注意が必要。

キャリパーブレーキのブレーキシューも濡れ、リムの当たり面も塗れる。自分の感覚値だが、乾燥時のストッピングパワーが10だとすると、雨天は6.5~7.0くらいかしら。距離でいうと、1.5-1.7倍くらい長くなる。よって、雨天時は前を走る人とはバイク2台分くらいの距離を空けておくと安全だ。(ダウンヒルならさらに車間距離を開けたい)

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そして、濡れるととたんに滑りやすくなる「白線」や「マンホール」、「グレーチング」の上を通過するのは極力避けるようにしよう。 (とくにカーブでは!)


以上、Global Cycling Network の「雨天でもなるべく快適にロードバイクで走るためのコツ(How To Ride In Rain And Wet Weather)」を個人的な体験も織り交ぜつつご紹介しました。


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