自分はダウンヒルが苦手である。

ヒルクライムは(遅いけど)わりと好きなのだが、その後に来る下りですごく緊張する。理由はカンタンで、スピードが出て怖いから(笑)。

スピードに対する恐怖のリミッターが、平均よりかなり低いこともあって、わりと早い段階で「怖い怖い……ブレーキングしなくちゃ」ってなって、スピードを殺しながら下るのだ。 よって、仲間と走ると確実に待たせてしまうことになる。誠にもって申し訳ない気持ちになるのだが、コケて怪我するのだけはなんとしても避けたいのだ。

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とはいえ、できれば人並みの速度で風を切りながら下ってみたい気持ちもある。が、ダウンヒルの上手なやり方なんてだれも教えてくれないし、本を読んでもいまいちコツがつかめない。 そこで、Global Cycling Network を検索し、役に立つ動画を見つけることができたので翻訳しつつご紹介したい。

How To Descend Faster | GCN's Pro Cycling Tips

限界まで押してみる

いきなり「限界まで押せと言われて驚いたが、自分の限界を知ることは大事。自分に何ができて、何はできないのか、客観的に把握しておくことには意味がある。 しかし、だからといって急坂で無謀な運転はしてはダメ。失敗した場合のリスクがあまりにも大きいからだ。

ではどうやって自分の限界を知るか?それは、「自分よりスキルがあって、速く下ることのできる先輩ライダーの後ろにつく」である。スペースのマージンはしっかり確保しつつ、先輩の動きを観察しながら真似していくわけだ。

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観察するポイントはボディポジション、ブレーキングのタイミング、そしてライン取りの3つだ。 できるだけついていき、「これ以上はもうダメ(怖い、曲がる自信がない等)」と思ったら、追尾を諦めて離れればいい。これを繰り返せば、ダウンヒルのコツがつかめるだろう。

バイク上のポジション

ダウンヒルを効果的かつ素早くするには、身体も心もリラックスしている必要がある。緊張感が高まりすぎていると、その影響は身体にも現れる。ポジションはぎこちなくなり、筋肉は固く収縮してよいことはない。

恐怖感を感じるなら、いったん減速して、深呼吸を数回おこない、身体を弛緩させよう。下ハンドルを握り、肘を軽く曲げ、重心を落とす。このとき、「背中を低くしなければ!」と思う必要はなく、重心を下に持っていく感覚でOKなのだそうだ。

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ブラケットよりも下ハンドルを握るほうがより安全だし、重心も下げることができる。あと、ブラケットだと地面からの急な突き上げ時に指がすっぽぬけてしまうことがあるのを覚えておこう。ブラケットを握って下るのであれば、しっかり指をブラケット全体にかけて、外れないようにしておこう。

視線は前方(進行方向)に

これは自分もついついやってしまうので自戒を込めて書くのだが、下りがヘタな人はつい目の前の地面に視線を落としてしまう。

恐怖心がそうさせているのだと思うが、これはマイナス。 常に進行方向に視線を送ること。不思議なもので、進行方向に身体(とバイク)は向いていくものなのだ。

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※進行方向である、(道路の)色のついた部分に目線を持っていく

それに、進行方向を見るということは、路面の荒れやヒビ、石や砂利等の危険物を回避するのにも役に立つ。 スピードが出るダウンヒルだからこそ、視線は前に据えておく必要がある。

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※前を見ていれば、こんな感じに予測しながら走ることができる

ブレーキとコーナリング

コーナーでのブレーキのコツは、「コーナーに入る前に減速しておき、コーナリング中はなるべくブレーキを握らない」である。ハイスピードでコーナーに突っ込んで、慌ててブレーキをかけるのは危ないし、周囲の迷惑。

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※外側の足はおろして踏んばり、内側は持ち上げて地面との接触を避ける

これも上記の「前方を見る」に繋がるのだが、前を見れていれば予測しながら運転することができる。 なお、ブレーキングの際は前後輪の両方をかける。ただし、フロントブレーキをやや強めに。6:4=前:後が目安。

エアロダイナミックなポジションをとる

スピードが出れば出るほど、エアロダイナミックなポジションには意味がある。プロロードレースでこんなかっこうで走るシーンがあるが、素人はぜったいに真似してはダメ。

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一般ライダーでもできるエアロダイナミックなポジションとしては、腕をしっかりと内側に絞り込んで、頭を下げ、下ハンドルを握って、ペダルは水平に保つ…くらい。

これでも十分にハイスピードで走ることはできるし、これ以上の努力を積み重ねてスピードを追い求めるのは……本職レーサでもない限り、やめておいたほうがいいかもしれない。