2017年7月からロードバイクで使っているIRC(井上ゴム工業株式会社)の『アスピーテ・プロ(Aspite Pro)』ですが、6ヶ月ちょい経過して2,800キロ走ったので、インプレしてみますね。

ロードバイクのタイヤの良し悪しって、かなり感じ方に個人差(感覚的な部分も多し)があって、なかなか評価が難しいのだが、検討中の方々のご参考になればこれ幸い。

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ズバリ、アスピーテ・プロ(Aspite Pro)をひとことで表すと、「バランスの良さ」に集約されます。すべてにおいて90点。悪いところがまったく見つからない。半年も乗っていれば、何かしら粗が見えて来るものだけど、アスピーテ・プロ(Aspite Pro)はホントにオールラウンドにすばらしい。

「じゃあ、以前愛用してたパナレーサーの「RACE L EVO3」よりいいの?すべてにおいて凌駕するの?」と問われますと、完全にそうとも言い切れないんでして、RACE L EVO3にはアスピーテ・プロ(Aspite Pro)にはないメリットがある。

ということで、以下、具体的にアスピーテ・プロ(Aspite Pro)の評価ですが、その前にスペックを再確認。

アスピーテ・プロ(Aspite Pro)のスペック

軽い走行感と優れたグリップ性、耐パンク性をハイレベルでバランス化させた、太くて軽い次世代クリンチャータイヤである。180TPI の軽量ケーシングの上に、40 ×40t pi のクロス織りメッシュ繊維をサイドウォール部分まで延長し、サイドカットを大幅に軽減なので耐久性、耐パンク性も高い。でもって、24c・26c の2 サイズで展開されている。

ケーシングの外側にビード to ビードで配置した耐パンク層が、レーシングタイヤの重量ながらサイドカットを含むパンク要因を強力にガード。またタイヤと一体化したフィン構造により、空気抵抗を低減。エネルギーロスを最小限に目的地まで導く。(IRC公式サイト

ちょっとわかりにくいですが、Cross Gurard++(クロス・ガード・プラス2)という40 ×40tpi のクロス織りメッシュ繊維がトレッド内側のサイドウォール部分まで延長されている。その結果、ドライ時・ウェット時ともにサイドカットの抵抗値が約40%以上向上し、サイドカットが起こりにくい構造になったというわけ。

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アスピーテ・プロ(Aspite Pro)のサイズ展開

  • サイズ:WO700 x 24c
  • 空気圧:100-130(PSI)
  • 重量:205グラム

  • サイズ:WO700 x 26c
  • 空気圧:90-115(PSI)
  • 重量:245グラム

アスピーテ・プロ(Aspite Pro)の性能

  • 転がり性:8
  • ドライグリップ:9
  • ウェットグリップ:9
  • ライフ(寿命):9
  • 耐パンク:9
  • 乗り心地:6

参考までにアスピーテ・プロ ウェット(Aspite Pro Wet)も

こちらはウェットコンディションに照準を合わせた専用モデル。基本設計はアスピーテプロと同じだが、トレッドパターンは排水性を考慮。コンパウンドはフォーミュラプロシリーズなどで実績のあるRBCC を採用。雨の日でも安定したグリップ力を約束する。

  • サイズ:WO700 x 24c
  • 空気圧:100-130(PSI)
  • 重量:205グラム

  • 転がり性:7
  • ドライグリップ:10
  • ウェットグリップ:10
  • ライフ(寿命):8
  • 耐パンク:9
  • 乗り心地:6

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アスピーテ・プロ(Aspite Pro)の特徴

Aero+(エアロ・プラス)

ビード付近に設置した「エアロ・フィン」がタイヤとリムの溝を埋めることで、時速40km 走行時のドラッグを約4%軽減…したそうです。消費エネルギーの低減により体力消耗が抑えられ、より快適な走行を可能たらしめるらしいですが、ぶっちゃけこの恩恵は、自分レベルでは感じることはできない(笑)。

新開発コンパウンドにより、異物がトレッドゴムに入り込みにくい

新開発のコンパウンドは、従来品よりも転がり抵抗が約4%向上。グリップ性能も約7 %向上し、「転がり抵抗が少なく、ハイグリップ」を実現。同時に、砂などの小さな異物がトレッドゴムに入り込む確率を減らし、耐カット性にも優れたタイヤに仕上げているそうな。ただ、従来品を知らない自分には「あ、そうなんですね…」という感想しかなく、実感できない。でも、異物がトレッドゴムに入り込むリスクが低いのはありがたいことである。

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とくに高評価なポイント

乗り心地サイコー

24cのアスピーテ・プロ(Aspite Pro)の規定空気圧は「100-130(PSI)」でして、自分はフロント100PSIで、リアが115PSIで合わせてある。この圧は23cのRACE L EVO3と同じ。24cになったことで、ほんの少しタイヤ内の容積が増えたせいか、同じ圧なのに24cのアスピーテ・プロ(Aspite Pro)のほうが路面からのショックが角が取れた印象。

パナレーサーは全体的にゴムが薄いかんじで、それが転がりの良さに貢献していたような気がする。荒れた路面ではコツコツとショックを拾ったものだった。それはよく言えば「ダイレクト感がある」であり、悪く言えば「ややシビア」とも表現できた。

対してアスピーテ・プロ(Aspite Pro)は、ゴムそのものの厚みがあり、硬すぎず柔らかすぎず、ちょうど良い。サーキットで本気で踏んでも抵抗はなく、ロングライドでは疲れない。じつに絶妙な乗り心地である。

ちなみにパナレーサーのRACE L EVO3の規定空気圧は「100~152 PSI(700-1050 kpa)」と、アスピーテ・プロ(Aspite Pro)よりやや高め。

カーブでのグリップ抜群

グリップ力もかなり良い。RACE L EVO3ですでに満足していたので、これを越えるグリップは期待してはダメかな…と思っていたのだが、なんのなんの。甲乙つけがたいグリップ力を発揮する。

エンデューロでの高速コーナリング、ダウンヒルでのS字カーブ、安心して侵入できる。24cとややワイドになったことで、コーナリング時の接地面積が増えているのがハッキリとわかり、安心感という意味ではアスピーテ・プロ(Aspite Pro)のほうがむしろ上。

実際、プロのロードチーム(キナンサイクリングチーム)でも採用されており、その性能はお墨付きだ。

>> プロが評価するASPITE インプレッションbyキナンサイクリングチーム

直進安定性

単純な転がりで比較すると、パナレーサーのRACE L EVO3が勝つ。最初のひと漕ぎの軽さ、スッとした動き出し、高速巡航時のスピードの維持のしやすさ…はさすがレースモデルだけあって、RACE L EVO3はすばらしい。

だが、長い時間ずっと安定して走らせる…という側面ではアスピーテ・プロ(Aspite Pro)に軍配が上がる。安定性ってなかなか文字で表現しにくいんだけど、たとえば左手でブラケットを握り、右手で給水するとき…、小さな石を踏んでしまい、タイヤがグラッとする瞬間(「うおっ」て焦るよねw)…、両手をハンドルから放して軽く腕のストレッチするとき…のし易さ、とでも言えばいいだろうか。

とくに差を感じるのが、小石を踏んだときのぐらつき感の少なさかなと。

RACE L EVO3に限らず、23cはガツンとショックが来るし、ハンドルが取られそうで一瞬ビビる。24cのアスピーテ・プロ(Aspite Pro)は石をピシッと弾いてくれて、ブレやグラつきが生じず、常に安定している感がある。

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ウェットコンディションではどうか?

路面が濡れた状況で走らせることはあまりなく、ロングライド途中のにわか雨、ヒルクライムイベントでの豪雨、雨のエンデューロ(サーキット)など、年10回あるかどうか。なので、「RACE L EVO3とアスピーテ・プロ(Aspite Pro)のどっちが優れている」の判断は難しい。

が、その程度の限定的な経験から評価しても、アスピーテ・プロ(Aspite Pro)が上のような気がする。ドライモデルであるにも関わらず(アスピーテにはウェット用もあります)、叩きつけるような豪雨の峠を安心して下り切れたときは、「もう、今後はずっとアスピーテ・プロ(Aspite Pro)でいいや…」って思思ってしまった。

デザインもよい

完全な主観ですが、ロゴとか文字パターンがカッコいい気がする。個人的には気に入っております。

「タイヤなんてただの黒色だし、かっこいいもへったくれもないんじゃ?」と思うかもしれないが、いえいえ、タイヤがかっこいいと「走りたい欲」が増すものだ。なので、好きなデザインか否かはわりと重要な要素。

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劣化具合

劣化具合についても触れておこう。いくら優れた性能を持っていても、あっという間に劣化してしまっては一般サイクリストに支持されない。

2,800キロ走ってまだまだ健在

まだぜんぜん問題なし。スリップサインがあるので劣化具合が確認しやすいのだが、もう数ヶ月は余裕でいけそうな気がする。

薄手で軽量なRACE L EVO3の耐久性は期待していなかったわりに長持ちで、4,000キロ以上走ることができた(しかもパンクゼロ)だったので、これだけ走ってくれれば御の字。アスピーテ・プロ(Aspite Pro)のほうがやや長持ちしそうな印象で、うまくいけば4,500キロいけるかもしれない。

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/使い終えたRACE L EVO3\

パンクはまだ一度もしていない。アスピーテ・プロ(Aspite Pro)はRACE L EVO3よりは耐パンク性能が高いので、さほど心配してはいない。ここ3年以上パンクは経験していないが、これはタイヤ選びが良かった云々よりも、単純に「日頃のケア(異物チェック)」と「乗車のたびに空気圧をチェックする」を習慣化したおかげ。パンクする or しないは、それだけで9割は防げると自信を持って断言する。

逆に、耐パンク性能の高いタイヤを買って、「これで安心だ」と油断して、空気圧チェックをおろそかにする…ほうがよほど危険。

アスピーテ・プロ(Aspite Pro)のレビューまとめ

もう一本のお気に入り、「パナレーサーのRACE L EVO3」と比較すると

  • どっちもよいタイヤで甲乙つけがたい
  • 転がりの良さだけならRACE L EVO3が上
  • グリップ性能は両方すばらしい
  • 乗り心地、直進安定性、ウェットコンディションではアスピーテ・プロ(Aspite Pro)の勝利

次もアスピーテ・プロ(Aspite Pro)でいくか?

なんの迷いもなく使い続けるつもり。ドライモデルで十分な性能なので、ウェットモデルはたぶん選ばない。

ただ、パナレーサーのRACE L EVO3もいいタイヤで捨てがたいんですよ…。今、タイレル(CSI)に23cのMinits Lite を履かせていまして、RACE L EVO3とは違う銘柄ですが形状は似てて、あり得ないほどの回転性の良さが気持ちよくてたまらないのです。圧倒的な転がり性能を取るならRACE L EVO3。トータルバランスならアスピーテ・プロ(Aspite Pro)かと。

どっちも激しくオススメなタイヤです( ◠‿◠ )


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